テレビドラマ『白日の鴉2』が2020年5月10日夜9時からテレビ朝日系列で放送されます。2018年1月11日放送の『白日の鴉』の続編です。『白日の鴉』は福澤徹三の同名小説が原作です(林田力「『白日の鴉』冤罪と貧困ビジネス」ALIS 2020年3月21日)。『白日の鴉2』は『晩夏の向日葵 弁護人五味陣介』が原作です。
『白日の鴉』のメインテーマは冤罪です。『99.9 -刑事専門弁護士-』や『イノセンス 冤罪弁護士』と毎回冤罪を明らかにする連続ドラマも馴染んできました。これに対して『白日の鴉2』は振り込め詐欺を前面に出しています。刑事司法の対立構造からすると、冤罪を明らかにすることと、振り込め詐欺の糾弾はベクトルが逆に感じられるかもしれません。しかし、不正や不合理を許さないという点では共通します。『白日の鴉』も冤罪をメインテーマにしながら、貧困ビジネスの闇を暴きました。
『白日の鴉2』は新田真人(伊藤淳史)と五味陣介(寺尾聰)が中心です。『白日の鴉』の主演格であった友永孝(遠藤憲一)が主要登場人物に出てこないことには寂しさがあります。『白日の鴉』はエンケンのドラマと言っていいくらいの存在感がありました。
孝は痴漢冤罪被害者であり、完全に同情できる立場です。警察の取り調べに否認を貫く骨のあるキャラクターです。上に弱いヒラメで御意が口癖の『ドクターX 外科医・大門未知子』の海老名敬とは大違いです。
これに対して『白日の鴉2』で孝に相当するキャラクターの立花康平(佐藤寛太)はオレオレ詐欺の受け子です。正直なところ、同情できません。犯罪の片棒を担ぐ意識はなかったと言いますが、これだけ社会問題になっていることを踏まえれば、その幼稚さが害悪です。危険ドラッグを違法ではない脱法ドラッグと称して販売するようなものです。
康平には悪徳不動産会社にだまされ、父を自殺に追い込まれたという過去があり、母は病気、自身は苦学生です。ここからどこまで康平に感情移入できるかがドラマの評価につながるでしょう。
----- Advertisement ------
◆林田力の著書◆
東急不動産だまし売り裁判―こうして勝った
冤罪 Kindle版