東京都中野区は2020年4月7日、中野区新型インフルエンザ等対策本部を設置しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19; coronavirus disease 2019)の対策ですが、組織名はインフルエンザです。新型インフルエンザ等とあるので新型コロナウイルスも含まれますが、分かりにくいです。問題の本質を理解しているのか、新型コロナウイルスに正面から取り組む意識があるのか疑問を持たれかねない組織名です。
他の自治体では「江東区新型コロナウイルス対策本部」「さいたま市新型コロナウイルス危機対策本部」など新型コロナウイルスを出しています。中野区新型インフルエンザ等対策本部は中野区新型インフルエンザ等対策本部条例に基づいています。それ故に新型インフルエンザ等対策本部という組織名にならざるを得ないとの説明になるでしょうが、自分達の組織内のルールを外に押し付ける公務員感覚です。
日本政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法を根拠として、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置しました。新型インフルエンザ等対策特別措置法第15条第2項は「内閣総理大臣は、政府対策本部を置いたときは、当該政府対策本部の名称並びに設置の場所及び期間を国会に報告するとともに、これを公示しなければならない」とします。対策本部の名称は状況にあったものを定めることができます。
中野区界隈では早くも2月に立正佼成会附属佼成病院で集団感染が起きました。佼成病院は杉並区ですが、中野区寄りで中野区民の利用者も多い病院です。その後はサミットストア東中野店(中野区東中野)、中野セントラルパークサウス(中野区中野)、マルイファシリティーズ(中野区中野)、東京警察病院(中野区中野)、中野江古田病院(中野区江古田)で感染者が出ています。中野区を南から北に縦断しています。
ところが、中野区は積極的に情報発信しておらず、Twitterでは中野区の情報公開姿勢に批判の声もありました。新型コロナウイルス対策への消極性を裏付けるような対策本部名になっています。
中野のコールセンターで新型コロナウイルス9人感染
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