塩の働きで脱水・防腐
漬け物を作るときは必ず塩を使う。長時間、塩に漬け込んだ野菜は、浸透圧の関係で細胞膜から水分が吸い出されて組織がしなやかになり、漬け物独特のしんなりとした食感が生まれる。
そこに調味液が入り込むことで味の染みた漬け物になる。
また塩には、有害な微生物の繁殖を抑えて腐敗するのを防ぐ働きがある。
このため長く漬けるものほど多くの塩分が必要で、即席漬けで2~3%、ぬか味噌・ハクサイ漬けなどで4~5%、1か月以上漬ける場合は 25%に及ぶこともある。
そのほか好ましい塩味をつけるという調味の働きも重要だ。
漬け物に使う塩は、精製された食卓塩や純度の高い精製塩より、不純物である塩化マグネシウム(にがり)やカルシウムなどの物質を含んだ普通の食塩や粗塩(粒の粗い、精製していない塩)の方がよいと言われる。
マグネシウムやカルシウムを含む食塩を使うと、野菜の繊維に含まれるペクチンがこれらと結合して水に溶けにくい塩を作るため、野菜は固さを保ち、シャキシャキとした歯ごたえのある漬け物を作ることができる。