今、香港社会では中国の「国家安全法」の香港への適用と合わせて、「国歌条例」の制定をめぐる抗議の声が広がっています。
国家安全法の草案条文については、以下の記事に日本語仮訳をまとめました。
ここでは、香港の立法会での採決を控えている国歌条例草案について、以下のページにアップされている条文を基に、どのような行為が犯罪と認定されるのかということに関する条文と学校教育への国歌教育導入に関する条文を中心に、日本語仮訳をつけてみました。
(なお、この日本語仮訳はあくまでざっくりとした仮訳です。できる限り原文のニュアンスを反映するように注意しましたが、内容の正確性は保証しません。活用や公開については、公的機関など信頼できる組織による翻訳を参照するようにしてください)
国歌条例草案
國歌條例草案
前文
(1)中華人民共和国国歌は中華人民共和国の象徴でありシンボルである。
(2)すべての個人および組織はみな国歌を尊重し、国家の尊厳を守り、適切な機会に国歌を演奏しなければならない。
(3)国歌の尊厳の保護、国歌の演奏、放送、使用の標準化、公民の国家観念の向上、および愛国精神の発揚に関する条例を制定する必要がある。
弁言
(1)中華人民共和國國歌是中華人民共和國的象徵和標誌;
(2)一切個人和組織都應當尊重國歌,維護國歌的尊嚴,並在適宜的場合奏唱國歌;及
(3)現須制定條例維護國歌的尊嚴,規範國歌的奏唱、播放和使用,增強公民的國家觀念,以及弘揚愛國精神:
第1条(略称)
本条例は「国歌条例」とする。
第1條(簡稱)
本條例可引稱為《國歌條例》。
第2条(定義)
(1)本条例中、(略)国歌(national anthem)とは「義勇軍行進曲」を指し、「中華人民共和国憲法」が指す中華人民共和国国歌のことである。(略)
第2條(釋義)
(1)在本條例中――(略)國歌 (national anthem) 指《義勇軍進行曲》,即《中華人民共和國憲法》所指的中華人民共和國國歌。(略)
第3条(演奏の標準)
国歌はその尊厳に適した方式で演奏されなければならない。
第3條(奏唱的標準)
國歌須以符合其尊嚴的方式奏唱。
第6条(国歌の不当使用罪)
(1)国歌、国歌の歌詞、国歌の楽譜は以下のようには使用できない。
(a)商標または商業広告。
(b)私的な葬儀活動。
(c)第(5)項で規定された機会、場所または目的。
(2)国歌を公共の場でBGMとして使用することはできない。
(3)合理的な理由なく、(1)または(2)に違反した状況のもとで国歌、国歌の歌詞、または国歌の楽譜を使用した者は、犯罪とする。
(4)第(3)項に基づいて犯罪を犯した者は、以下のとおり有罪とする―
(a)第(1)項(a)に違反した場合、レベル5の罰金が科される場合がある。
(b)その他の場合ーレベル2の罰金が科される場合がある。
(5)行政長官会同行政会議は、(1)項(c)を施行するために機会、場所または目的を指定することができる。
(6)(略)
第6條(不當使用國歌的罪行)
(1)國歌、國歌歌詞或國歌曲譜均不得用於――
(a)商標或商業廣告;
(b)私人喪事活動;或
(c)根據第(5)款訂明的場合、場所或目的。
(2)國歌不得用作公眾場所的背景音樂。
(3)任何人如沒有合理辯解,而在違反(1)或(2)款的情況下使用國歌、國歌歌詞或國歌曲譜,即屬犯罪。
(4)任何人犯第(3)款所訂罪行,一經定罪――
(a)如屬違反第(1)(a)款的情況――可處第5級罰款;或
(b)如屬其他情況――可處第2級罰款。
(5)行政長官會同行政會議可藉憲報公告,為施行第(1)(c)款,訂名場合、場所或目的。
(6)(略)
第7条(侮辱行為の罪)
(1)国歌を侮辱する意図で公開および故意にー
(a)国歌の歌詞または楽譜を改竄する、あるいは、
(b)国歌を歪曲または中傷する方式で演奏する
者は犯罪とする。
(2)いかなる方式によっても国歌を公におよび故意に侮辱する者は犯罪とする。
(3)国歌を意図的に侮辱し、故意に以下のように公表する者―
(a)改竄された国歌の歌詞または改竄された国歌の楽譜、あるいは、
(b)国歌を歪曲または中傷する方法で演奏する、
については犯罪とする。
(4)意図的に国歌を侮辱し、国歌を侮辱する状況をいかなる方法によっても故意に公表する者は犯罪とする。
(5)(3)または(4)に規定されている場合を除き、いかなる者もー
(a)改竄された国歌の歌詞または改竄された国歌の楽譜
(b)国歌を歪曲または中傷する方法で演奏する、あるいは、
(c)国歌を侮辱する状況
は本条が定める犯罪とする。
(6)本条が定める犯罪を犯した者には、レベル5の罰金および懲役3年を科すことがある。
(7)本条が定める犯罪の法的手続きは、以下の期限(早い方を採る)の前に実施する。
(a)警務処処長が犯罪を発見または気づいた場合、その日付から1年が経過したとき。
(b)犯罪を犯した日から2年が経過したとき。
(8)(略)
第7條(侮辱行為的罪行)
(1)任何人如意圖侮辱國歌,而公開及故意――
(a)纂改國歌歌詞或國歌曲譜;或
(b)以歪曲或貶損的方式奏唱國歌,
即屬犯罪。
(2)任何人如公開及故意以任何方式侮辱國歌,即屬犯罪。
(3)任何人如意圖侮辱國歌,而故意發布――
(a)經纂改的國歌歌詞或經纂改的國歌曲譜;或
(b)以歪曲或貶損的方式奏唱的國歌,
即屬犯罪。
(4)任何人如意圖侮辱國歌,而故意發布以任何方式侮辱國歌的情況,即屬犯罪。
(5)除第(3)或(4)款所規定者外,任何人不會因發布――
(a)經纂改的國歌歌詞或經纂改的國歌曲譜;
(b)以歪曲或貶損的方式奏唱的國歌;或
(c)以任何方式侮辱國歌的情況,
而犯本條所訂罪行。
(6)任何人犯本條所訂罪行,一經定罪,可處第5級罰款及監禁3年。
(7)就本條所訂罪行而展開的法律程序,只可於以下時限前(以較早者為準)展開――
(a)警務處處長發現或知悉有關罪行的日期之後1年屆滿時;
(b)犯該罪行的日期之後2年屆滿時。
(8)在本條中――(略)
第9条(小学および中学教育への編入)
(1)教育局局長は国歌を小学教育および中学教育に組み込むために以下の指示を発しなければならない。
(a)生徒に国家の歌唱を学ばせる、および、
(b)生徒に以下のことを教育する
(ⅰ)国歌の歴史および精神、および
(ⅱ)国歌演奏の礼儀
(2)(略)
第9條(納入小學及中學教育)
(1)教育局局長須就將國歌納入小學教育及中學教育發出指示――
(a)使學生學習歌唱國歌;及
(b)以教育學生――
(ⅰ)國歌的歷史及精神;及
(ⅱ)奏唱國歌的禮儀。
(2)在本條中――(略)