どうも。映画大好きくろきです。
この世のアート(芸術)と呼んで差支えがない絵画や音楽、思想や小説、舞台や映画であったりを「面白いよ~!!」なんて褒めたり、評価したりするってのは、実際のところコレってのはナンセンスなのかもしれない。
だって人の感性なんて目に見えない「不確かな存在」であるのだから、それが本当に素晴らしいかどうかは自身の感性でのみ評価されるべきであって、その感想を誰かにアレコレ言う事自体がズレた感覚であり、意見をしたいならそれこそアートで語るべきなのかもしれません。
そう。そんなalis初投稿の今日はまさに「アートで語る」アーティスト、バンクシーの監督作品「イグジットスルーザギフトショップ」を紹介したいと思います!!(どっかでも紹介してるけど、ちょっと試しに初投稿してみたかったんで!!)
説明しよう!!
バンクシーとは、世界中に参上しては、社会風刺の効いた落書きを残して去るという行為を繰り返す「見てごらん!!僕たちは好きな未来を描けるんだ!!なりたい自分を描こう!!世界中がキャンバスさ!!」なんて大層なマインドだけが先走った自己啓発的な触れ込みを本当に実演しながら、芸術的センスを披露するスーパー唯我独尊クレイジーな傍迷惑ド変態芸術家なのである。
昨今じゃ人類総クリエイター時代なんて触れ込みもあって、日々増殖の一縷を辿るYoutuberやブロガーなどの表現者たちのヤリクチとは逆行した、一切告知なんてモノはしない。顔はゼッタイに晒さない。情報の一切を隠す。そして探そうとするやつには嘘の情報を流して「バンクシーの正体が分かったぞ!バンクシーは今○○にいるぞ!」と喜ぶ純粋で愚かな馬鹿共に夢を与えて嘲笑うというロックな生き様を見せつけている人物なんだ!!
しかし、そのコンセプトと圧倒的なクオリティの高さから一部のマニアから絶大な支持を得ていて、彼の作品は何億円で取引されているんだぜ!!いやマジですごい!!
しかし作品性としては、利権を貪る仕組みを形成する資本主義に対して中指を立てる内容が多く、絶対に何があっても金や権力には屈さない唯我独尊スタイルを貫くコダワリの人。だもんで何億もの金を積まれた仕事の制作依頼であろうが受けることはない。でも無許可で依頼もされていない謎の場所で勝手に制作するヤバイ人である(そして作品をそのまま置いていく)。
そんなただの自己中野郎かと思いきや、ディズマランドという陰鬱テーマパークを作った際には無名でも良い作品を生み出すアーティストを積極採用するなど、同じく意思をもって作品を生み出すクリエイターには敬意を払うような行動も見受けられる。
落書きとか社会的に許される事ではないけれど、なんとなくモノづくりに片足でも突っ込んだ事のある人は共感できる部分があるし、何よりとにかく見てる分には面白いやつである。
こんなバンクシーが監督しているというので注目された映画なんですが、その内容はガッツリ硬派なドキュメンタリーで、いつも紹介するような血しぶきドバーなサービス精神に富んだド派手シーンは一切なく、情熱大陸よろしくの淡々と演者が語るだけの映画となっているんですが、メチャクチャ面白いです。
ただ多くの人が勘違いしたかと思うんですが、これはバンクシーが作る芸術の一部始終を追ったドキュメンタリーではありません。実は主人公はバンクシーではなく、ミスターブレインウォッシュという男なのです。
Mr. Brainwash - Wikipediaen.wikipedia.org
ことの発端は、ミスターブレインウォッシュというただのアートファンがバンクシーと接触してドキュメンタリーを撮り始めるトコロから始まります。
「アンタの芸術は最高だ!!この世で最高の芸術が生み出される瞬間のドキュメンタリーを撮らせてくれ!!」という具合に。
そんな資本主義に拘らないオファーにどうやらバンクシーも満更ではなく、ちょっとばかり興味を示し、協力するようになっていきます。
全てはミスターブレインウォッシュの撮影の元、作品について語ったり、ドキュメンタリーのそれっぽい事をやっていくんですが、バンクシーは関わっていくウチに、ミスターブレインウォッシュに映画を作るセンスがない事に気付きます。
と言うか映画を作るセンスどころか、壊滅的に無能である事に気付いていくんですよね。バンクシーから見ると「ただの犬のクソ」でしかないモノをミスターブレインウォッシュは「その瞬間にしか生み出せない曲線美」みたいな解釈を持ってくる「ただマインドだけが先行して意識高い言葉だけは吐くが、実のところ何の能力も技術も何もない、あるのは無駄な行動力だけのファッキンゴミクソ野郎」だと感じるようになるのです。
「やれやれ。要るんだよなァ~。アートを作る自分が高尚だと思ってるヤツ。ただ自分の無能を認めたくないだけで本質はアートに対するリスペクトもない。そのアートに対する感性も誰かからの受け売りの価値観で、自分の意思がねえんだよ。要するにパクリ。パクっただけの価値観。他の人が良いって言ってないと良いかどうかが分かんねえようなくだらねーゴミだなコイツは」と言う具合に。
このままではクソなドキュメンタリーが完成するのは明白。
そこでバンクシーは自らが監督になり、逆にミスターブレインウォッシュを撮影したドキュメンタリーを制作し始めるのでした!!
ですので、この映画は途中からバンクシーのドキュメンタリーからミスターブレインウォッシュのドキュメンタリーへと変貌していくのです。
バンクシー自身も「イグジットスルーザギフトショップ」のタイトルを本来は「クソのような作品をバカに売りつける方法」にしようかと語っていたんですが、まさにそういう映画かもしれませんね。
バンクシーを肯定する訳でも否定する訳でも無いですが、映画としては皮肉も効いててメチャクチャ面白い!!それに色んなアート作品やバンクシーの友達っぽいアーティストも出るので、それだけでも見ていて楽しい映画になっていますよ~!!
特にアーティストや表現者を目指していて、なんか「売れてえわ~」という人は一度ご覧になるとよろしいかと思いますよ。考えさせられる内容にもなってますから。
つまりは売れてる作品と良い作品ってのは全く違うって事ですなァ~
全ての「売れてるモノ=安心安定の王道!良いもの!」ってのは、思考停止した価値観で、世界一売れてるカップラーメンが一番オイシイらーめんって事ですからね。すぐオイシイ~すごくオイシイ~けど!!!!
つまり良い作品ってのも個人の感性ですから。
まァ、そんな僕の良いって言葉なんて「不確かな感覚」よりも確かな自分の感性で物事を確かめていきたいですなァ~