ある飲食店の話。
私は、とある飲食チェーン店で働いていて、店長をしている。
当然、店長になる前は修行を兼ねて、複数の店舗で経験を積むのだが、今回は、その頃の話をしようと思う。
どうも、HACHIMAN.Z です。
もう、10年以上前の話。
そもそも飲食店というものは、多くの人が出入りするから、人の念や、気持ちが集まりやすいと言われている。
それでも昼間は、スタッフもいて、お客さんも多いから、活気があって、特に変な雰囲気を感じる事も無い。
だいたい、それが当たり前だろう。
それでも、いくつかのお店は、嫌な雰囲気を感じる事がある。
まだ、外が明るい時間でも、それは感じる。
私が入店していた、K店とO店では、他の店と明らかに違う雰囲気を感じる事ができた。
昼なのに暗い。
これは、窓が無いという事ではない。
あえて高級感を出す為に暗くしているわけでもない。
ただ、ただ、暗いのだ。
K店の話からするとしよう。
この店は古く、築40年くらいで、
かつて、蕎麦屋の老舗があった。
それを、うちの会社が居抜きで買い取り、店をだしたのだけれど、中はほとんど そのまま。
誰が書いたかも分からない絵や、古い壁掛け鏡が不思議と捨てずに飾ってある。
社長が気に入ったのだろうか。
店内はカウンター席と、座敷。
そして、少し離れに和室。
和室は二部屋あって、一つは事務所として、
もう一つは、ロッカールームのようにして使っていた。
トイレは、お客さん用と、和室の横に従業員用があった。
場所は、大きな国道沿いにあり、交通量の多い大きな交差点付近。
そんな感じの、まぁ、綺麗ではないが、よくある飲食店だ。
売上は順調で、オープンから しばらくは行列もできていたそうだ。
当時から働いているパートさんが一人だけいて、私に、その頃の忙しい話を楽しそうに話してくれた。
今から20年くらい前の話だろう。
そんな、昔話を聞きながら仕事をしていたのだが、若いパートさんからは、おかしな話も聞いた。
「トイレの鍵が勝手に閉まるのよ」
何それ?
と笑いながら聞いていた。
そのトイレは、古い建物ということもあり、鍵は、引っ掛けるようなタイプの鍵だ。
フックのような形の金属を、輪っかにくぐらせて開かないようにする。
その鍵が何故か、ドアの内側と、外側にも付いていた。
なんで、外に鍵が付いてるんだ??
不思議に思って、古いパートさんに聞くと、
「勝手にドアが開かないようにかな??」
と言っていた。
勝手に外の鍵が閉まるなんて、同僚のイタズラだろう?
と考えるのが普通だ。
でも、若いパートさんは、
絶対にそれは無い! と言う。
なんで?
それから数日が経ち、古いパートさんと、二人だけで働く時間があった。
何も聞いていないのに、パートさんは昔話を始めた。
「そこに交差点があるでしょう?
大きな交差点だから、昔から事故が多くてね。
ある日、車に はねられた方が、そこの和室に運ばれて来た事があったの。
残念ながら、亡くなったわ。」
私は、背中がゾッとした。
「それ、トイレの鍵と関係あるんですか??」
そう聞きたかったが、聞けなかった。
聞いてはいけない気がしたのだ。
トイレの前にある古い鏡。
何故、処分しないのだろうか。
そして、古い絵。
この店にあるものが、すべて、気になるようになってしまった。
そんな中、新人社員Aが入ってきた。
なんでも、少し霊感があるそう。
ある日、Aが私に言った。
「この店、、、」
それ以上言うな。
私は言葉を遮った。
「線香を焚きますね」
新入社員が線香を焚いてくれた。
それからまた、別の新入社員が入ってきて言った。
「誰もいないのに、夜になると お化粧の匂いがします。」
「え? そう?
まぁ、何かあったらAに相談しな。」
霊感の全くない私は、そう助言するしかなかった。
そんなK店。
今でも、Aさんが入店する度、線香を焚いています。
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K店とO店。
そこの店長は、私が知っているだけでも、何人も鬱になり仕事を辞めました。
O店とは、
その昔、あるパートさんが鬱で行方不明になって以来、、、、、
その話は、
また機会がありましたら。。。
終
最後に
お墓参りに行きましょうね。
行ける時でかまいませんから。
きっと守ってくれますよ。 でわまた。^ ^