僕が吉藤オリィさんのことを知ったのは、つい先日期間限定で開催されていた分身ロボットカフェ、をなにかのニュースで知ったことがきっかけでした。午後会社サボっていこうかなーと思っていたら、ずっとずっと仕事が忙しくて結局行けそうもなくなってしまったので、カフェの開催場所に彼女の職場がたまたまめちゃくちゃ近かったので、彼女に行ってきて感想教えてよ、とお願いしたら本当に行ってきてくれて送ってきてくれた写真がこれでした。なんかすごい楽しそう。
分身ロボットカフェのコンセプトは下記のような感じです。
そこへ行けない、身体を動かすことができない人でも働けるということを当事者に。動けないが働きたいと思う人がいるということを世間に知っていただきたいという思いでALS患者や障がい者、引きこもりなどの人たちが遠隔操作で実際に分身ロボットを動かし、カフェを運営します!
僕が最初に思ったことは、ロボットって別に無理に人工知能にしなくてもいいんだってことです。逆にAmazonのスマートスピーカーのアレクサってめちゃくちゃ頭がいい人工知能だけど別にロボットの形はしていないし、声だけです。人工知能ではないけどロボットの形はしていて、でもiPadなんかのタブレットを使ったビデオチャットと、吉藤オリィさんの作ったオリヒメロボットを使った遠隔操作から見ることのできる映像は似てるかもしれないけれど、見える世界は恐らく全然違うんだと思います。吉藤オリィさんが『サイボーグ時代』という本の中でこんなことを言っていました。
つい先日、分身ロボットカフェで海外のインタビュアーにこう言われた。「私たちの国ではロボットは人の仕事を奪うという印象でイメージが悪く、怖がられています。でもここでは違うのですね。」それに対し私は、番田ならこう答えるだろう、と思いこう返答した。「やりたくない仕事をやらなくてよくするためにテクノロジーを使い、やりたい仕事ができなくなったときの解決にもテクノロジーを使うのが、日本のスタイルですよ。」
番田さんという方は2017年に亡くなった、オリヒメロボット開発のメンバーです。4歳の時にあった交通事故で20年間寝たきりだったにも関わらず、オリィさんと出会ってから、とてもつもない熱量で共に仕事をしてきたオリィさんの親友であり社員です。そして誰よりも分身ロボットカフェを楽しみにしていた方でもありました。オリィさんの凄いところは、番田さんのような実際に障害を持った当事者たちをも巻き込んで、圧倒的なモチベーションを持ったチームを作って、自分は現場で手を動かし続け、徹夜で発泡スチロール削ったり、プログラミングしたり、基盤にはんだ付けしたり、資金集めに奔走してたりするところです。働き方改革って残業時間を減らすことじゃなくて、オリィさんのように自分の手の届く(かもしれない)、社会的な課題に目を向けて、何度も失敗しながら、少しずつ前に進んで形にしていくことだよなぁ、と思いました。君たちはどう生きるか?という今の時代に流行りの”問い”に対する、こんなにもかっこいい”生き方”はないんじゃないのかなぁ、と『サイボーグ時代』を読みながら考え込んでしまいました。本を読んで、オリィさんの優しいSFの世界観に癒され、そして圧倒的な熱量にとても勇気づけられました。