名もなき一つの腕時計

※この作品はWandaさんに書いていただいた作品です。

何の愛着も持たずに決めたTwitterの名前「とけい」

もともと腕時計好きではあったけれど、本当に好きな人に比べれば

その愛の大きさはミジンコよりも小さくなる気がする。

なぜTwitterの名前を「とけい」にしたんだっけ？

ああそうだ。一番最初に目についたモノをそのまま名前にしたんだった。

だからもしかしたらTwitterの名前はボールペンだったかもしれないし、マウスだったかもしれない。

それでも時計が目に入ったんだ。一番最初に。

最初は、その名前に違和感しか感じなかった。

それでも違和感は時間とともにゆっくりと流れ落ちていく。

「とけい」という不思議な名前。

心境の変化はじわーっと種火のように心に染み込んでいく。

愛着がわいてくる。

いい名前なのかもしれない。

そう思うようになった。

ふとした拍子に「ALIS」に出会った。

そうだ、ALISの世界を「とけい」で表現してみてはどうだろう。

真ん中にシルエットのウサギ。

針はALISのLにしてしまおう。

なら、上と下にも英語の筆記体でオシャレに。

本家のALISみたいなAを盤面いっぱいに表現もしたいな。

イメージはすぐにわき出てて来た。

さらさらと書いていった。

うん、いい出来だ。

突拍子もない発想でもすぐに下書きは出来上がった。

名もなき腕時計が。

ただこの下書きをどうするという訳でもない。

とけい自身、その下書きに息を吹き込むことは出来なかった。

そんな能力持ち合わせていない。

いい作品だけど、そっと引き出しの中にしまった。

後日ふとした盛り上がりから、ブランドを作ってみようということになった。

ありがたいことに、たくさんのデザインがとけいのもとに集まった。

せっかくだったら…

一枚の下書きが脳裏をよぎった。

「いいですよ」

とある青年は二つ返事で返してくれた。

青年の名はWanda。

名もなき一つの腕時計はその瞬間から色をつけカタチを帯びた。

そして名前が吹き込まれたんだ。

「ALIS　TIME」と。