アップリンクの見放題で観そびれていた映画から観る・・・ということで次に観たのは
「ガザの美容室」
この映画を知ったのは、「ラッカは静かに虐殺されている」をアップリンクに観に行った頃だった。
ラッカは静かに~、は、シリアからでISと戦い続けるジャーナリスト集団の話で、ドイツに逃げたが、家族を人質に取られた人が見せられた映像や、シリアからいきなりドイツ・・・自分たちがいたところと全く違う世界が、同じ時にあるということをどんな風に感じたかが気になった。
逃げ出したような罪悪感あるだろうか、シリアでの気持ちを薄れさせないように、周りの平和ムードがあるはずの中でも緊張感を保って戦っていかないといけないのでは。また、国の家族についての心配。
すごく、細い筒に入れられたような、狭い中での息苦しさ、その中での緊張感・・・
惨殺されて広場に置かれた死体や、ISに脅される場面もあり、観た後にはぐったり・・・おかげでしばらく、内戦とかテロとかその手の映画はおなかいっぱいな気分になった。「ラジオ・コパニ」が予告編であった気がするが。
中東を舞台にした、美容院の映画は過去にもあったし、フランス映画の、「髪結いの亭主」のように、なんかまったりとした雰囲気と中東風が混ざる様子と美容室の風景って相性がいいのか?
そう考えると、美容室を舞台にした映画は、日本にだってあるし、吉行淳之介のお母さんが主人公だったドラマ(見てないけど)「あぐり」など、自分は知らないけれど、たくさんあるのだろう。
美容室っていうのは、脱力していて、時間もあるから、「会話」をあらわしやすいのか。
しかし、この「ガザの美容室」の客のような会話模様は、今の日本ではないだろう。
とにかくスタッフがちんたら、ほんとにゆっくり作業していて、
一人の美容師は、彼氏とのもめごとやら実家への電話などで仕事が何度も中断する。
客はものすごく怒るが、怒られても、スミマセンではなく、むしろ、ムカつく客だ!って感じ。
待ってる客同士の会話も、とんでもない。・・・・まあ、薬でちょっとおかしくなっている人があちこちに変なこと言うっていうのがこの映画の中であるが、そのおかげで、客同士が会話に取り込まれる。
関係ないもの同士が、会話を通して自分の考えを見せてしまう。
見せようとしなくても。
例えば、美容院に家族の誰かと行ったとして、そこでちょっと知り合いに会ったら、そこから世間話始まり、横から誰かが意見してきて、みたいな・・・誰かがきっかけの会話を始めたから、周りのやはり暇を持て余している客が話に入ったり、違う客同士が、聞こえた話をきっかけに話を始める・・・
といったことなので、セッティングがあれば、世界どこでもありうるのか・・・
しかし日本よりは、フランスなんかで想像しやすいなと思った。
さて、この美容室はガザにある。
美容院のスタッフが、カーテンの隙間から外を見ると、ライオンが座ってる。
なんでライオン?!
特別な状態ではない。
停電続き、そしてめちゃくちゃ暑い閉じられた部屋。
外は危険。
汗が流れる中で化粧する・・・
外で爆撃、客の妊婦が破水しそうになっても救急車は、男たちの殺し合いの方優先。
あの人たち、頭おかしい・・・って思うかもしれないが、頭おかしくなりそうなのが日常だったら・・・そうなってもおかしくないよ。
今、コロナで色々と不自由だけれど、日本なんてもう、全然、不自由のうちに入らないなーと、通勤しながらも思う。お店だってやってるところあるし、外食だってまだできてるし。
この映画は、舞台にも似合いそうだと思った。
演劇を見ているような気分になった。
イスラム女性が外に出る時は髪を隠すことなど、文化的にわかりやすい面もある映画。短め。
内戦の中での怖さは、思ったほど怖く描かれてはいない。
むしろ、ドイツで、移民を襲った若者のの映画の方が怖かったな・・・
(「ロストックの長い夜」はネットフリックスでもやってる模様。)。