アップリンクの見放題の中から、まずは名前知ってた映画から観ることにしたのだった。
「顔たち、ところどころ」
アニエス・ヴァルダのファンも多いようだが、自分は詳しくない。
夫のジャック・ドゥミ(「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」の監督)についての映画「ジャック・ドゥミの少年期」は、ジャック・ドゥミが子供の頃から自分で手作りアニメ作って遊んでたこと時代のことが描かれていて、時代は厳しくても、幸せは人の心次第だということが伝わってきた。他、2,3本見ているが、内容すっかり忘れてる。
彼女は去年90歳で亡くなった。
この映画はその2年前のものだが、本人、すごく元気そうに映っている。
54歳年下のアーティスト、JRと二人でフランスの田舎を旅して、その町の人の写真を撮り、巨大なプリントを作って、その町の中に貼り付ける。
写真を撮られる人たちが堂々としてるんだよね。
目立つところに貼られて照れてしまう人もいたが、だいたいみんな楽しそうに笑顔いっぱいで映って。
普通の人、だけど自信もって生きている人が、大きな写真を撮られて、その人に関係のあるところに貼られる。
いきなり自分が主人公だ。
人の知らない町に、知らない人がいて、知らないことが起きている。
家畜の山羊が傷つけ合わないように、角が生えないように角の生えるところに人間が力を下しているなんてことがあるとは知らなかった。
その山羊の飼い主の近くの建物に、角がある山羊の巨大な写真を貼り付けることで、何か気づかせる。
忘れられない、親や祖父たちの思いを、思い出の建物に貼り付ける。
働いているみんなで写った、みんなで働いてるって感じる写真を工場に貼る。
誇りを持って働く男たちを尊敬し支える強い妻たちの写真を巨大にして貼る。
最初は見ていて退屈だった。
しかし、アニエス・ヴァルダの様子が、80代後半のわりには若いのかな~、可愛らしく、言うこともやることも、女の子らしさがあり、嫌なこと、好きなこと、はっきりしていて・・・かわいい。
年寄りに可愛がられて育ったJRがまた、優しい。
それにしても、ポラロイド的に撮った写真をすぐに巨大なポスターのようにして、うまいこと貼っていくのがまたすごい。簡単にやってるけれど。
ずっとサングラスを外さないJRの素顔を見たがるアニエス・ヴァルダは、ゴダールのサングラスを外した話をする。
ゴダールの家にも二人で行く。
この映画が伝えたいことは、見た人が感じることが、それですね。
人にはいつでも会えるものじゃないし、見たいときに、見えるとは限らない。
知られていなくても、自分の日常を生きている人みんな、堂々と、自分は地球というストーリーの出演者であり、ひとりひとりは主人公。みんな。
太字にしたけれど、大事なことじゃない。単に自分の感想です。