リアルで介護教員をやっている者です。
ツイッターなるものを始めました:@tec_kaigo
ALISでブログを書き始め、これが4記事目となります。
【過去記事】
2、【介護職不要論】テクノロジーは障害という概念さえ終わらせるか?
3、【時給2800円越え!】AIによって職を奪われた人が介護の仕事に流れてくるという介護教員の持論
【はじめに】
介護に興味のある方も、そうでない方も日本に住む以上は介護に関する最低限の知識が必要な時代がもう間もなく到来します。
その根拠はこちらの記事で書きました
⇒https://alis.to/tec-kaigo/articles/aEONR6m5YyyN
私は介護教員として「介護福祉士」を養成する立場でありながら、介護ロボット等の導入に関しては大いに賛成する立場をとっています。
高齢者の増加に伴い、介護の人材不足はこれからどんどん拍車が掛かってくることが予測されており、その人材不足解消の切り札としてロボットやAIなどの導入が近年言われてきております。
【この記事を読んで得られること】
・介護ロボットはなぜ必要なのかその理由がわかる
・介護ロボットの普及が進まない介護現場の実態がわかる
・介護ロボットの活用による未来の介護について知れる
親の介護によって会社を辞めざるを得ない現役世代は年間10万人にものぼり、
「介護離職問題」は日本の生産力の低下、経済活動の鈍化を生じさせますので、国をあげての対策が急務となっている状況であります。
もしも、親が介護状態になったらあなたはどうしますか?
もしも、奥様もしくは旦那様が介護状態になったらあなたはどうしますか?
【介護離職の現実:動画約8分】
〇動画の要約〇
「中途半端にしか働けない人はいらない」
会社からそんな言葉を突きつけられた30代女性は、たった一人の身寄りである祖母の介護をしている。そして、会社からの理解が得られず退職を余儀なくされた。
認知症を発症した祖母は、孫の姿が見えなくなると、孫の名前を呼び続ける。
献身的に祖母の介護を行なっていた女性だったが、日々の介護疲れから、「うつ病」を発症。
祖母には長生きして欲しい。でも、結婚や出産など女性としての当たり前の幸せを手に入れたい気持ちもあり、「早く居なくなってしまえば・・・」という想いがよぎることも。
動画に出演されていた方は、自ら望んで仕事を辞めたのではなく、必要に迫られて介護離職を余儀なくされています。介護の問題は突然訪れます。介護離職はいつ誰に降りかかってくるかわからないため、介護の問題を他人事にせず、あらかじめ備えておくことが望ましいです。
⇒介護の相談窓口について書いた記事はこちら
ロボットが支える介護の未来を予見させる介護ロボットが開発されました。
【最新!AI搭載の介護支援ロボット:動画約2分】
このロボットは介護職のサポートを目的に作られており、赤枠で囲まれた雑務をこなすことが可能です。タオルや洗面用具の準備をしたり、洗濯物の集配、配膳や食器・給仕トレーの運搬、下膳、片付け、排泄や廃棄物の処理などを想定。AIやカメラも搭載されていて、個人の顔の識別も可能。倒れている、横になっているなど異常事態を認識して通知する機能も備えているとのこと。
こういった優れたロボットの開発が進む中、それでも介護ロボットの普及が進みにくい介護業界の実態について少し触れておきたいと思います。
当然のことながら、介護ロボットを導入するにはコストがかかります。
導入するかどうかの判断は各事業所の判断に委ねられます。
※介護老人保健施設の月額費用目安を参考までに。
出典:https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/hoken/rouken/cost/
介護施設の収入は利用者の数や介護度に応じて多少の報酬の増減はありますが、最大で得られる収入の上限が決められているため、一定の額以上の利益を上げることは難しい仕組みとなっています。(特に社会福祉法人は非営利法人です)
ですから、通常、介護の事業所は収入が増やせないなら支出を減らすことで利益を確保しようとします。よって、高額な導入コストがかかる介護ロボットの「費用対効果」はいかほどなのか、精査する必要があるというわけです。
厚労省も介護ロボットを推進しており、助成金制度が整備されつつはあるものの、1機器につき導入経費の2分の1程度の負担は事業所が持つというケースが多いようです。
また、介護分野におけるテクノロジーの活用について、積極的な法人とそうでない法人とで2極化している印象を受けます。
介護ロボットの導入により、本当に現場は楽になるのか?
果たして本当に介護ロボットは人間の代わりを担うことが出来るのか?
導入に際してリスクはないのか?等など・・・
そういった疑念によって導入に二の足を踏んでいる状況もあります。
事実、私は勤めていた施設の上層部も介護ロボットに対してはかなり冷ややかな印象をもたれていましたね。
高額な導入コストが掛かる上、導入に際する介護職員への教育や、利用者とその家族への周知理解など、実は導入自体にそれなりのハードルがあります。
どの業界においても言えることだと思いますが、これからの社会を生きる私たちは、新しい技術や新しい価値観を柔軟に受け入れる姿勢がとても大切なのではないかと思います。
AIやロボットなどの次世代テクノロジーが広く実社会に溶け込むようになるのはもはや必然ですが、超少子高齢社会を乗り越えるために、「生産力」を機械に可能な限り代替していき、「人間は人間にしか出来ないことをする」という社会作りが急務だと考えています。
介護ロボットの普及についても、まずは現場での活用事例を積み重ねていくことが重要です。現場での検証を重ねた上で、介護職員と介護ロボットの業務のすみわけを行なっていくことで、次のステップが見えてくるのではないでしょうか?
▼さいごに▼
良ければ世界の最新ロボットをご覧ください。とてもワクワクしますね。
【世界の最新ロボット:動画約10分】