こんばんは、ゆーこです。 今日は法人税についてのお話です。
以前の記事でも触れたのですが、現在は法人が期末時点で保有している暗号資産については保有目的関係なく、一定の流動性があるものについては全て時価で評価をすることが求められています。
これは会計上も税務上も同じで、期末時点で含み益が発生している場合はその分所得として課税される、という取り扱いになっています。
クリプトに国境はあってないようなものですが、この現状に則していない税法の存在は健全な発展が阻害される要因になりかねず、日本という国全体にとっても不利益になるかと思います。
ではどういう取り扱いが望ましいのか?私なりに考えてみました。
私が参考にしたのは法人税法上の有価証券の取り扱いです。
株などの有価証券の中でも、法人税法上の「売買目的有価証券」に分類されるものは時価法により期末評価が行われます。これによって、帳簿価額と時価の差額に課税されます。
売買目的有価証券は短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券のことで、積極的にトレードして売買益を出す!と言う目的で保有している株、というイメージを持ってもらえると良いかと思います。 現金化されていない資産の含み益に対して課税されてしまっているという点では現在の暗号資産と同じと言えますね。
ただ、有価証券の場合、実は税務上の区分として売買目的有価証券ともう一つ「売買目的外有価証券」がありまして。
こちらについての期末評価は原価法で行われる・・・イコール期末も時価評価せず帳簿価格で評価される・・・
つまり、含み益についての課税がされないと言うことになります。
売買目的外有価証券は「売買目的有価証券以外の有価証券」と定義されています。 かなり広い範囲をカバーする概念ですが、中長期の保有によって利益を得ることを目的としている有価証券、他社との関係構築のために保有している有価証券などがこれに当てはまります。
・・・そう。
私が言いたいのは、この「売買目的外有価証券」という考え方を暗号資産にも適用できないかな?ということです。
暗号資産を積極的なトレードを行う目的で保有している会社と言うのは現在少ないはずです。
スタートアップのクリプト界隈を見渡してみても、トレードの利益を得ることを目的として暗号資産を保有しているような会社はぱっと見た感じありません。 何らかのプロジェクトの開発のため、もしくはそのために集めた資金、というのが主な保有理由ではないでしょうか。
しばらく動かす予定のない暗号資産をレンディング等で運用することもあるかもしれませんが、会社が余剰資金を定期預金にしたり、有価証券にして保有したりということは良くある話です。 この場合も積極的なトレード目的ではないので売買目的外有価証券という取り扱いでいいのかと思います。
現金に変えていない含み益への課税は支払資金の確保が難しい場合も考えられ、特に暗号資産スタートアップでの影響はかなり大きいものとなります。
例えば株式会社ALISの場合も、納税に備えてETHをステーブルコインであるDAIに一部換えた、という説明をdiscordでされていました。ICOで当時の価値で約4億円分集めましたし、価額が大きく上がった当期は含み益への課税額もかなりのものとなったと考えられます。
毎日Twitterなどで流れている情報を見ていても、クリプト界隈で新しいことをやろうとされている方々の熱量は凄まじく、私も将来に期待し、応援しています。
そんな皆さんの意欲を削ぐような現状の税制はやはり不適切で、この記事で提案したような方法で含み益については課税されないと言うような取り扱いをするべきだと考えています。
個人のトレードで発生した利益にかかる所得税もなかなか厳しいですが、技術面での発展を望むのであればまず法人税のこの論点から着手して欲しいなあ・・・
エラい人お願いします!!
今回もお読みくださりありがとうございました♪