別の言い方をすると「巨人の肩の上に立たせてもらおう」になりますか。
これからもし、何か辛いことがあった時に、読み返そうと思っています。
今回は、前回の記事『挫けそうになったら、先人を頼ろう~その二、安藤昌益~』に引き続き、この安藤昌益を見出した狩野亨吉についてのお話です。
前回の記事で安藤昌益は以下のような偉人だと書いていました。
要するに「武士は農民のピンハネしとるだけやないかい!」と批判し、皆が平等に大地を耕して生きていくべきだと説いた人なんですね。
で、話を戻しまして、安藤昌益は今では思想家として有名ですが。
長い間(ざっと二百年ぐらい)、その存在を知られることはありませんでした。
そもそも武士の支配する世の中で「武士はけしからん!」言うてるやばい思想ですから、これは表に堂々と出せるもんちゃうやろーっていう話ですけれども。
その当時には決して表に出すわけにはいかない、誰にも言えない思想を抱いて、安藤昌益は一人で戦っていた、というわけです。
そして「百年の後を期して書殘す」のでした。
で、この安藤昌益を見出したのが、狩野亨吉ですけれども。
前回の記事で狩野亨吉は以下のような偉人であったと、松岡正剛の千夜千冊様の記事をリンクさせて頂いていました。
上記リンク先の記事より引用致します。
今夜は近代日本人のなかで、器量が大きく、破格で、とてつもなく面妖で、かつ最も高潔だった文人
一高の校長となり、皇太子の教育掛に推挙され、京都帝国大学の教授となりながら、ひたすら「性」と「鑑定」を偏愛し、安藤昌益の「互性活真」の精神を貫いて、生涯を国家の埒外に置いたまま、独身を通した
露伴にも漱石にも田辺元にも谷川徹三にも慕われ、かの社会派弁護士の正木ひろしをして、「狩野先生こそ本当の国宝的人物だ」と言わしめた
狩野亨吉は漱石の同期の親友である。漱石の要請で熊本五高で教え、『それから』の代助のモデルともなった(『猫』の苦沙弥先生のモデルの一部にもなっているらしい)。ところが、狩野自身はその漱石の文学にはほとんど関心を示さなかった。
本はめちゃくちゃ大量に読む。気がつけば10万冊の蔵書に達した。だが、自分では何も書かない。何かがとんでもなく跛行していた。幸田露伴は、「あの人くらい本を読むと、宗教なんか馬鹿らしいというのは当たり前だ。あんなに本を読んでいて一冊も著述がないのも変わっている」と言った。
生涯を独身で通し、「性」に関心をもち、自慰と不倫をたのしみ、ポルノグラフィを真剣に研鑽もした。こんな法外な人物もめずらしい。高潔にして破格、敬われていながら自涜(じとく)に遊び、万巻の書物を読んでもその成果を誇らない。
引用は以上です。
すごい偉人……というか、天才奇才……いや、鬼才かなぁ?
漱石のマブダチ(死語)で、小説のモデルにもなっていて、なのにその文学には関心を示さないとか。
本をめちゃくちゃ大量に読むのに、自分では一冊も書いたことがなく「鑑定」を偏愛していたとか。
自分では一切書くことなく「鑑定」を偏愛していたということは、言い換えると「評価者として徹底していた」ということになります。
なので、私にとってはある意味、狩野亨吉は憧れの人物でもあるわけなんですね。
……自慰と不倫の辺りはちっとも憧れませんけど。
お話ししたかったことは以上ですが、以下余談で。
私は文系でありながら、諸事情により高校で日本史をやっていませんでした。
なので恥ずかしながら、安藤昌益と狩野亨吉を一切知らなかったのです。
何で知ったのかと言いますと、Amazon様の広告やったんですよこれが。
電子書籍『ゲームやアニメ、漫画でこれからの生き方を学ぶ』(今はHiÐΞでも公開しています)を出した時に、浮世絵について調べたのがきっかけでした。
何故なら、狩野亨吉は浮世絵や春画の蒐集家としても有名だったからです。
そこからAmazon様が、ならこの本も好きなんじゃね?的に、両先生について書かれた本を広告に出してきて下さったと。
広告なんて鬱陶しいものだと、それまで思ってきていましたけれども。
生涯でたった一度のこの出会いを得られたことで、もう感謝してもしきれないほど、感謝致しております。
それともう一つ。
電子書籍は本当にお金にならない、時間をドブに捨てたようなものでしたが。
この出会いだけで、十分に元が取れたとも思っております。
本当に、そう思っています。
……自分では……。
誰かには、決しておすすめできないですけどね。
いやー、本当に本当に、お金にはならないんで。
その時間を働いていたら、100万円以上には余裕でなっていると思いますんで……それぐらいの無駄にしちゃった感はありますよどうしても。
(以下の心の叫びが何故かこんな形になって消せませんが、このままいきます)
というわけで、ちょっとだけ「そうとでも思わなやっとれんわー」っていう気持ちがあるってことも、正直に書いておこうと思います(´;ω;`)