この画像は以前、Kujira941様より頂いていたものです(リンク先はALIS内ではありません)。
私はここALISだけでなく、自身と夫のブログその他、電子書籍まで手を出して現在に至りますが。
どれもたくさんの方々にお読み頂いている……という状況ではありません。
電子書籍は十五冊ぐらい出して、印税は未だ一万円にも届いていませんし。
これらの本を出すまでの時間を労働に充て大阪府最低賃金を貰ったとしますと、ざっと100万円から200万円、あるいはそれ以上の金額になっているはずです。
いや、もちろん、人数の問題ではないということはわかっておりますよ?
お読み頂くのみならず熱いコメントを頂くことがたまーにありまして、それはものすごーく嬉しいですし感謝致しております。
特にALISでは、ちょっと前IMAKARA様に『感謝の投げ銭8人目「0-M0T0KI」さん』というありがたい記事を書いて頂きました。
ありがたやありがたやありがたや。
これで、もうちょい戦えそうです。
……で、ですね。
何が言いたいのかと言いますと。
アマチュアでもプロでも、日本で何らかのクリエイターになってそれを続けるっていうのは、とても辛いことなんですよね。
と、こう書くと「辛いんだったらやめろ!」とか言う人もいるわけで。
一円もお金にもならない(あるいはプロの方なら労力ほどのお金にはならない)のに、何で私はこんなことをしているのだろうという悲しい気持ちに襲われるのは、一度や二度ではないはずです。
今日はそんなあなたに、私から「あなたが報われないのは、あなたに才能がないからじゃない」という話をしておこうと思います。
何故、あなたの努力が報われないのか?
その答えを一言で言えば「仕方がない」これに尽きます。
何が仕方がないのかと言えば、理由は以下です。
1,日本の人口
2,日本語の使用人口
3,日本人の評価能力が低い
以上です。
世界のGDPで言えば日本は三位ですが、上位二国はいずれも日本よりも人口が多く、世界中で母国語である英語や中国語を使える人口は、遥かに多いですよね。
ついでに言えば国ではないですが経済圏ということで、EUでも人口と使用言語である英語を使える人口は日本よりも遥かに多いです。
これだけ人がたくさんいたら、その中からあなたの作品を好きになってくれる人が出てくる可能性はより高くなりますよね。
絵画や音楽など文字が要らないものであっても、評論を読んだことがきっかけで興味を持つこともありますから、その言語を使える人が多いのは非常に有利です。
要するにクリエイターさんの人口に比べて、その対象となるお客さんの人口が少ない状態なので、努力が報われにくいと言えるでしょう。
(例えば日本でしんどい割に低収入とされている美容師さんの仕事を、アメリカでやればシャンプーテクだけで高給取りになれるそうですが、そこには使用言語が英語であるという壁があります)
最後の「日本人の評価能力が低い」ということについては、以前にも書いたことがありました。
『日本の低迷の元凶は「日本人の意地の悪さ」か。さらにその元凶は「プレイヤー至上主義」では?』
詳細は上記リンク先をお読み頂けるとありがたいのですが、要するに「日本人の価値観は供給側かつ労働者に非常に偏っている」ので、その結果「(需要側かつお客さんの能力である)評価能力が低くなる」ということです。
「芸術を含む嗜好品や娯楽作品を作る作家さんは、仕事で作る側だから偉い」が、それを楽しむために買うお客さんは「仕事の息抜きで楽しむのは良いが、そうでなければお金のムダであり良くないことだ」という、これが日本人の価値観です。
つまり何でもかんでも仕事を中心に考え、そこから外れるものは「無駄かつ無価値であり、そのようなことをする人は享楽的で愚かである」これが日本人の価値観であり、これはお客さんを「享楽的で愚か」だとバカにしていることになります。
(そしてこのことは、日本人若年層の死因第一位が自殺であることにも繋がっています。
この話にご興味がある方は、是非この記事もご覧ください)
ところが、芸術や高級品を含む嗜好品は「その価値を正しく評価できるお客さん」がいないとお金に換わることがありません。
その価値を正しく評価するためにはそれなりの教養というものが必要であり、愚かな人にはできないことです。
それ故に、世界一の高級品の複合企業体LVMHの本部のあるフランスでは「芸術はその作品の作者のみならず、その価値がわかる人もまた尊敬される」のが当たり前とされているのです。
(あるいは、日本ではお金にならないとバカにされがちな哲学をフランスでは非常に重視しており、バカロレアという大学入学資格証明の試験では初日に必須科目として課せられてもいます)
というわけで、結論として一行でまとめますと「日本でクリエイターが評価されにくい理由は、供給過剰と日本人の評価能力が低いことであり、クリエイターのせいではない」というお話でした。
この話によって、何かクリエイティブな活動をされているあなたの心が少しでも楽になりましたら、幸いです。