皆さんこんにちは。
今日も引き続き電力市場のちょっと深い話と、ブロックチェーン技術の可能性についてお届けします。
(前回記事:関西電力がブロックチェーンでP2P売買に取組むわけ)
さて、昨日こんなニュースが。
九州電力さんが、デジタルグリッド社に出資。
デジタルグリッドといえば「ブロックチェーンでCO2削減量が売れる!」で紹介した環境省実証の採択企業でもあります。
なぜ今、電力会社はブロックチェーンに着目するのでしょうか?
前回の記事では、目的は部門によって異なっていくだろう、と言いました。どういうことでしょうか?
見ていきましょう。
実は今、日本の電力市場は大きな変化を迎えています。
きっかけは2015年から始まった"電力システム改革"。この改革では「電力の安定供給の確保」、「電気料金上昇の抑制」、そして「需要家の選択肢の拡大と事業者への事業機会の創出」を目的とし、、
、、とか言っても、はぃ?ってなるの知ってる。
ものすごーく簡単に言いますと、これまでの電力会社(関西電力とか)って発電所も送電線も持っているし契約や請求回収といった小売りのお仕事も、ぜーんぶやっていたんです。
市場の絵でいくと、、、
囲ったところ全部1社でやってたんです。
以前は地域ごとに完全独占状態でした。その後ちょっとずつ自由化がされていたんですが、一般のお家に電気を売れるのは東京電力とか関西電力とかでした。
それを今回「免許取ったら誰でもどこでも売っていいよ!」ってしたんです。
でも、電線は一からひきなおすわけにも高くつくので既存の電力会社に借りないといけない。
なので、「新参者には貸さねぇ!」なんてしないように、電線管理している部門(上の図の"送る")は会社を分けて電線を公平に貸すように!となったんです。これは今から2020年くらいまでにおこるはず。
「部門によってやりたいこと変わってくるよ」と言ったのは、そもそも別会社になっちゃうからなんですね。
まぁとにかく、
今はソフトバンクとかauとかパナソニックとかも電気売ってます。
色んな会社が参入し、ガスと電気セット売り!〇〇ポイントがたまる!等々出てきてる。競争激しくなりそうですよね。
ただ、これだけだと
「ブロックチェーン関係あるかなぁ?」
で終わってしまいます。
もう一つ、大きな変化があります。
"スマートメーター"って聞いたことありますか?
電気をどれだけ使ったか、各家庭やビルに"メーター"がついてて確認できるようになってますよね。
以前は人がメーターを見に来て、「今月はこれだけ使ったから電気代〇〇円ねー」ってやっていたんです。
牧歌的ですねぇ。
しかし、日本はこのメーターをゴリゴリにデジタル化した“スマートメーター”に置き換えることを決定しました。
これを入れると、どのエリアで”今”どれだけ電力が使われているのかがわかるようになります。もっというと、このスマートメーターは家庭内の照明とか冷蔵庫とか電気を使う機器とつながることもできます。もちろん、EV車や蓄電池とも。
(今導入中のスマートメーターがどこまでの仕様になってるかはおいといて)
時代はInternet of Things。
お家の機器や蓄電池、EV車、EV充電所、、、、いろんなものがつながって、機器同士で会話し(M2M)、エネルギーの効率化を図っていく、住みやすい社会を作っていく。
そんな時代が夢ではなくなってきます。
わくわくしてきた?
さて、色々な種類の機器や色んな発電方法があれど、売買するのは“電気”。
すなわち、いつどれだけどのくらいの期間、
・電気を提供できるか
・電気を使う(使わない)予定か
のマッチングが大量発生することになる。
そしてこの需要と供給に応じて価格が付くことになる。
そのためには、お家の太陽光や蓄電池の電気を売るような"プロシューマー"向けの新しい市場が必要になるかもしれないし、"DEX"のようにP2Pで取引できるような仕組みが必要かもしれない。
そう、
この分散された取引に、ブロックチェーンが使えるではないか?
期待が膨らんでいるのです。
今回は、これまでの記事で書いていた"分散化"時代が、なぜ日本で法的・技術的に可能になったのかを書きました。
別に既存のIT技術でもできないことはない、しかし電力という商品そのものが非常にシンプルでありながら大量のプレイヤー(しかも人間以外も?)が取引するこの市場は、ブロックチェーン技術が活きるんじゃないかなと思うのです。
ここは、
ブロックチェーン技術に詳しい方、
ご自由にコメントください!
次回からは、日本以外のプロジェクトも含めご紹介しましょう。
この市場で聞きたいこと、取り上げてほしいことがあったら教えてくださいね!
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3.電力のデジタル化を支えるのはブロックチェーンか
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