今回はウォルター・アイザックソン著のイーロン・マスクの公式伝記を読んで、まだ生存している偉人ともとらえられる米国のアイアンマンについて紹介したいと思います。
✓ やたらと「X」にこだわりがある
✓ 第一原理で考える
✓ イーロン・マスク周辺の人間関係
この本ではイーロン・マスクの生い立ちからTwitterの買収、そして最後にスペースXのスターシップミッションまでほとんどすべてのイーロン史が示されています。この本を読んでいるとYoutube上に投稿されているスペースXやTwitter(現X)で目にするイーロン・マスクを想像しながら、その人物像や彼に近いところにいる人々などを知ることができ、非常に奥深い洞察を得られます。
イーロン・マスクは、かねてから「X」という文字に愛着があるらしく、若かりし頃に設立したX.comやイーロンの子供の名前でもあるXに、Twitterを買収した後に改名したX.corpなど、いたるところにXがあります。
本人からしてみれば、それはいかがわしいインターネットサイトを連想するとか、そんなことよりも、どことなく謎めいていてクールな響きだから好んでいるとのことで、X.comがペイパルと事業連携した時も、その名前を「Xpal」にしようとしてピーター・ティールから嫌がらせを受けたほどでした。
また、イーロン・マスクは非常に働きまくる人物としても知られており、その働きぶりはスペースXやテスラ時代にも発揮されており、そのうえで既存の意味不明な規制を嫌って「第一原理」で考えるという節があります。
この第一原理とは、物事のレベルを物理的に考えることを意味しており、事業の予算などが合わなくなったときに出てくるワードです。
これのおかげでテスラ・モデルSやスターシップ、ファルコン9のアクチュエーターなど様々なユニットのコスト削減ができていると言ってもいいかもしれません。イーロンの部下はイーロンのアイデアにほとんどのシーンで反対するか、なだめているかのどちらかであることが浮き彫りに書いてあり、イーロン・マスクが如何に予測不可能かがわかります。
また、この本(上下巻)でよく出てくる言葉として挙げられるのが馬鹿野郎という言葉です。イーロン・マスクの冗談(ときに本気)として馬鹿野郎(ばかやろう指数など)という言葉が多々出てきますが、個人的にはこういった言葉を使った後に、紳士的な語り口に戻るあたりがイーロンの人間性を表そうとしているのではないかと思っています。あとはシュラバモードですかね。日本語訳すると、恐らく危機対応モードになります。
現在進行形でX(旧Twitter)はその姿形を変えつつありますが、今後の流れとしてはおそらく「Xに決済機能が付く」可能性は高いかもしれません。
イーロン・マスクはかねてからX.comという決済サービス企業の「X」には強い思い入れがあり(上述したように)、創業者のジャックドーシーには「Twitterを愛している」とまで言い、しまいにはすべての株を買収し「X」と改称してしまいました。
その流れを考察すれば、あと最近付け加わったインプレッションに応じた報酬制度の導入を見れば、今後Xがどこへ向かうのかは何となく見えてきます。
しかし、今回この本を読んで確かにイーロン・マスクについてはいろいろなことを知ることができましたが、意外だったこともあります。それは彼の取り巻きである人々に対する描写です。
やはり、イーロンほどの人物になれば周りに集う人のレベルも高く、しかしそれでもイーロンに振り回されるという構図がいたるところにあり、(もちろん逆にイーロンが振り回されることもあるし、大半はそれかもしれない)人間ドラマ的な部分をかいつまんでも面白いと思えます。