書名 システムトレード 基本と原則 トレーディングで勝者と敗者を分けるもの
著者 ブレント・ペンフォールド
監修 長尾慎太郎
訳 山口雅裕
発行 パンローリング
ページ数 526
裁量トレード(人手のトレード)、メカニカルトレード(コンピュータによる自動トレード)のどちらをやるにせよ、トレードで勝つためには基本が重要です。90%のトレーダが負けているといいます。本書は、10%の勝ちトレーダになるための基本原則を教えています。
勝てる売買ルールを採用する。
資金管理を行い、リスクの高すぎるトレードをしない。
心理を知る。相場にのめり込まない。勝ち負けに一喜一憂しない。
最もうまく負ける人が、最後は勝つ。
これは、「ピットの怪人」と呼ばれるトレーダの言葉です。ピットの怪人の解説はこちら(なんだか文字化けしていますが、中の文はちゃんと読めます):
本書は、トレードをしようと思ったときに最初に読むべき本です。私は他の本を読んだあとこの本にたどりつきましたが、この本を最初に読んでいたら他の本を読んだときの理解度が高まったのになぁと思いました。けっこうページ数はありますが、初心者に強調するために何度も同じことを繰り返し書いているためであり、平易な文章のためさらさら読めます。
私は資金管理の章は読み飛ばしました。コンピュータプログラムで仮想通貨などの金融商品を売買するときは、必然的に「1取引に保有決済通貨の何%を割り当てる」というプログラムを組むのが自然です。そうでないと、すぐ「お金が足りません」というエラーになってしまうからです。この考え自体が既に資金管理となっており、さらに学ぶ意義を感じられませんでした。
本書では、勝てる売買ルールを詳しく説明していません。読者はそれを一番知りたいのですが。例として説明されているのは、「タートルズのトレーディングルール」です。「直近20期間の高値を更新したら買い、逆に直近20期間の安値を更新したら売り」というものです。これをそのままトレードbotにしてみましたが、勝率はかなり低いですしこの戦略が今も通用するのか少々疑問ではあります。この戦略について、詳しく説明している本があるとのことです。興味がある方はこちら:
本書の良い点は、「マーケットの魔術師」と呼ばれるような凄腕のトレーダの話が載っているところです。16人の魔術師が、それぞれ初心者トレーダへのアドバイスを語ります。魔術師達も、トレードを始めた頃はうまくいかずに何万ドルも損をしたという話が載っていて、続ける勇気が湧きます。ここだけでも読む価値はあります。
私の心に響いた魔術師の言葉は、アンドレア・アンガーさんという方のアドバイスでした。
相場がどう動くかを考え、自分のアイデアを検証し、結果を見直さなければならない。それらがあなたの期待に沿わなければ、頭を切り替えて新しい手法を考えるようにしなさい。ダメなアイデアをうまく働かせようとすることに時間を費やすよりも、もっとうまくいく新たな手法を開発することに時間を費やしたほうがよい。
本書を読んだ後、どうすべきかですね。ここまで私は本書を含め4冊のトレード本を読んで勉強してきました。魔術師の中には、トレード本を読むのが趣味の人がいます。成功を収めた魔術師でも、まだひたすら研鑽を積んでいるんですね。それは、マーケットが変わり続けているからです。魔術師でさえ、まだ学んでいるのに、初心者トレーダが学ばない理由はありません。トレード本は他にも面白そうなのがあります。読むペースは落とすとしても、引き続き読んでいきます。
以上