書名 眠りの森
筆者 東野圭吾
発行 講談社
ページ数 328
ジャンル 推理小説
1.高柳バレエ団
葉瑠子 ダンサー。事務所に侵入した強盗を殺害。正当防衛を主張。
未緒 ダンサー。葉瑠子の幼馴染で親友。
梶田 演出家。団の中で絶対的な存在。何者かに殺害される。
靖子 ダンサー。有能だが伸び悩んでいる。
柳生 ダンサー。何者かに毒殺されかかるが軽症ですぐ退院する。
亜希子 団長の娘でダンサー。美しさ、踊りの実力でトップ。
2.団以外
加賀 事件を捜査する刑事。
風間 団の事務所に侵入した強盗。葉瑠子と鉢合わせになり、襲い掛かるが反撃され死亡。職業は画家。
高柳バレエ団は人気のあるバレエ団です。ある日、風間という人物が事務所で団員の葉瑠子に殺害されるという事件が起こります。葉瑠子は、風間が襲い掛かってきたため夢中で花瓶を振り回したら相手が倒れたと、正当防衛を主張します。
事件を担当する加賀刑事は風間の動機を捜査しますが、何の成果も得られません。そんな中、団の実力者・梶田が衆人環視の中で殺害されてしまいます。風間の事件と梶田の殺害は関係はあるのか。警察は手を尽くしますが捜査はなかなか進展しません。
団員の柳生は葉瑠子と親しいため、葉瑠子の無実を晴らそうと独自の調査を開始します。しかし、コーヒーに毒を入れられて殺されかかります。使われた毒は、梶田殺害に使われたのと同じニコチンでした。
風間は、なぜバレエ団に侵入したのか?梶田を恨んでいた者が団員にいるのか?加賀刑事は団員と交流しながら、少しずつ真実に迫っていきます。
登場する小物
この小説が書かれたのは平成の始めの頃。まだ携帯電話は登場せず、警察はポケットベルを使っています。未緒は音楽を聴くのにカセットコンポを使い、カセットテープを何本も持っています。
読者が犯人を推理するのは無理
ジャンルは推理小説ですが、読者が犯人を推理するのは無理だと感じました。当たり前かもしれませんが、各登場人物がなかなか本音、本当のことを言わないからです。特に、風間の存在が謎です。最後まで読んで、風間が事務所に侵入する動機は弱いように感じました。
今なら懲戒免職もの
加賀刑事は最後はある登場人物と恋仲になります。その人とキスをして話は終わるんですが、勤務中、しかも相手は容疑者。現実にはありえないですが、推理小説の形を借りた恋愛小説と言ってもいいかもしれません。
生産技術エンジニアだったの!?
東野圭吾は初めて読みました。巻末の略歴を見ると、電気工学科を卒業し生産技術エンジニアだったとありました。生産技術部門は、工場で生産ラインを作り、品質と生産効率を両立させる仕事ですよね。そんな仕事をしながら小説を書いていたそうです。才能があふれてますね。
別の本も読みたいです。
以上