
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が2022年11月13日に第43回「資格と死角」を放送しました。公暁が鎌倉に戻ります。鶴岡八幡宮での右大臣拝賀の儀に向けて物語が進みます。
『鎌倉殿の13人』の新しさは親王将軍を源実朝の発案としていることです。鎌倉幕府が実朝の死後に摂関家から将軍を迎えることは不思議でした。執権北条氏にとっては、政治の実権を握るために、お飾りの将軍を京から迎えた方が好都合という考えはあるでしょう。しかし、他の御家人達が縁もゆかりもない人を将軍とすることに納得するかという問題があります。その無理を押し通せるほど北条氏は強かったのでしょうか。
実朝が発案者であり、生前から話があったならば受け入れやすくなります。実朝は周到に話を進めて北条義時や三浦義村の反論を封じます。前回の第42回「夢のゆくえ」では義時に政治経験の差を見せつけられましたが、今回は上手くやりました。実朝に感情移入していると義時を黙らせたことが嬉しくなります。
実朝対義時で見ると実朝の計画が進んでほしいとなりますが、気になることは源仲章の暗躍です。仲章は実朝が新たに任命した政所別当です。義時は和田合戦で和田義盛を滅ぼし、政所と侍所の別当を兼ね、鎌倉幕府内で強大な権力を獲得しました。
しかし、政所の別当は複数人が任命されます。実朝は政所別当の人数を九人に増やしました。これは義時の突出を抑えることになります。実朝にとって仲章は実朝の手足となる存在として任命しました。
ところが、『鎌倉殿の13人』の仲章は曲者です。第34回「理想の結婚」では北条政範を毒殺するように平賀朝雅をそそのかしました。これは畠山重忠の冤罪につながります。第40回「罠と罠」では泉親衡の乱の首謀者を演じます。これは和田合戦につながります。御家人達に不幸をもたらす存在です。
今回は義時の妻のえ(伊賀の方)に近付きました。義時(小栗旬)と仲章(生田斗真)との三角関係は『花ざかりの君たちへ~イケメン パラダイス』のようです。ここまで伊賀の方を面白キャラとして描くならば、義時死後の伊賀氏の変も放送して欲しいところです。
仲章に話を戻すと実朝と一緒に殺された人として知られています。義時と勘違いされて殺されました。今回の仲章は義時を伊豆に隠居させて自分が執権になろうとの野心を示しました。義時の代わりに殺されることは皮肉です。
『吾妻鏡』では義時が実朝の脇で御剣役をする予定でしたが、急に体調不良となり、仲章と交代したとされます。古くから義時は暗殺を分かっていて自分が逃れるために体調不良としたと言われていました。『鎌倉殿の13人』の仲章との対立関係からすると、仲章と交代することに義時の意思があるかもしれません。
義時は伊賀の方に毒殺されたとする説があります。いい感じになった仲章を自分の身代わりで死に至らしめたことに怒って、毒を盛る展開になるのでしょうか。
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