日本では毎日のように警察不祥事が起きています。警察24時ではなく、警察不祥事24時を特番にして欲しいくらいです。日本の警察不祥事を英語で紹介するならばPolice Scandalがしっくりきます。代表的な警察不祥事は警察官の盗撮などの破廉恥犯罪であり、Scandalの表現が合っています。
これに対して英米ではPolice Misconductへの関心が高いです。これは警察官の職務執行の不正です。その中でも警察官による市民への暴力が特に問題です。これはPolice Brutalityと言います。全米で激しい抗議デモが起きている警察官による黒人市民の射殺もPolice Brutalityとして批判されています。警察の暴力Police Violenceとも呼ばれます。
日本の警察不祥事は犯罪行為そのものの破廉恥さが注目されがちですが、Police Misconductの要素もあります。埼玉県警川口署地域課の巡査が女性の住宅に侵入して住居侵入の現行犯で逮捕された事件がありました。これだけでは警察官の破廉恥犯罪に聞こえますが、巡査は女性の住宅の情報を警察の端末から入手していました(「個人情報不正照会、住居侵入、捜査書類偽造… 埼玉県警、2人免職、1人停職」産経新聞2015年1月24日)。
日本では警察不祥事に対して個々人のモラルの向上という対策にもならない対策が大真面目に語られる傾向があります。これも警察不祥事をPolice Scandalと捉える感覚が影響しているかもしれません。アメリカでは警察官にカメラを装着させて、問題行動がないか第三者が検証できるようにしています。
発展途上国などでは警察官が賄賂を要求するPolice Corruptionが深刻です。日本はそこまで酷くないと考える人が多いでしょう。しかし、埼玉県警草加署巡査が死体検案の料金として遺族から現金82万円をだまし取るなど警察官が職務を騙って犯罪を行う警察犯罪が起きています(林田力「巡査が受け子になる警察不祥事の新たな闇」ALIS 2019年11月9日)。また、交通違反取り締まりのネズミ捕りは海外の感覚では組織的なPolice Corruptionと映るでしょう。
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埼玉県警察不祥事