テレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士 SEASON I 特別編 第三夜』が2020年6月14日に放送されました。今回は建設会社の金庫から現金1千万円が盗まれた事件を弁護します。
経理担当の女性社員の果歩(山下リオ)が逮捕されます。孤独な状態で無罪を主張し続けた果歩の意思の強さは賞賛すべきです。取り調べシーンを見ると、黙秘が一番と感じます。「信じて下さい」は一番言わない方が良い台詞に感じます。詐欺業者も消費者に対して使う台詞です。
冤罪事件では殺人事件がクローズアップされることが多いです。日本では松本サリン事件、アメリカではサッコ・ヴァンゼッティ事件が有名です。しかし、刑が軽い事件も、逆に刑が軽いために冤罪を認めてしまう埋もれた冤罪事件が起こりやすい問題があります。現実の日本では痴漢冤罪事件が有名です。愛媛県警の女子大生誤認逮捕も、この分類に含まれるでしょう。ドラマでも罪を認めて示談に持ち込むという選択肢が提示されます。
今回は立花彩乃弁護士(榮倉奈々)が主任弁護士として活躍します。深山大翔弁護士(松本潤)のひねくれた対応が笑えます。法廷では立花弁護士がやり切り、深山弁護士は「出番なしか」と言います。誉め言葉になります。
それにしても情報がないところから真実に辿り着く刑事専門弁護士達は素晴らしいですが、もう少し警察や検察が調査すれば容疑者を犯人とすることの矛盾が分かりそうなものです。警察や検察の無能を印象付けられます。自分達の点数稼ぎのために見込みで突っ走るしか能がないのでしょう。
今回はラストで深山弁護士の過去が仄めかされます。刑事訴訟で無罪を勝ち取ることは第二第三の父を出さない意義のあることですが、一方で父の無念が改めて思い出されるのでしょう。古傷は癒されず、抉り続けられます。コメディタッチですが、重たいドラマです。
99.9 刑事専門弁護士 SEASON I 特別編
『99.9-刑事専門弁護士 第二夜』宮崎強姦ビデオ事件を連想
----- Advertisement ------
◆林田力の著書◆
東急不動産だまし売り裁判―こうして勝った
埼玉県警察不祥事