これまでの記事で、ブロックチェーンの開発にかかわる人材をどのように育て、確保していくかという課題について、いくつか取り上げてきました。
たとえば、こちらの記事では、国立高雄科技大学が積極的に人材養成をおこなおうとしている事例を取り上げました。
「産官学」の協働のなかで、大学教育の果たす役割の重要性を示しているように感じます。
教育を通じた人材養成というアプローチはもっともオーソドックスなものですが、技術者養成やリクルーティングの場はもっとさまざまな形で準備されても良いと思います。
今回は、そうした動きのひとつとして、台北で国際的な「ハッカソン(黒客松)」が開催されているというニュースを目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。参考までにご覧ください(^^;)
・台北で金融とヘルスケアのハッカソンが開催!
・ハッカソンの主催団体は?
・台北でハッカソンが開催される意味とは…
台湾の経済紙「經濟日報」のニュースサイトに掲載された記事によると、2018年6月15日から17日まで、台北の台北医学大学で「未來金融暨健康照護黑克松(未来金融・ヘルスケアハッカソン)」が開催されているとのことです。
後援団体のひとつである政府機関「科学技術部」の「人工智慧製造系統研究中心(人工知能製造システム研究センター、AIMS)」の公式ウェブサイトに掲載されたプログラムによると、開催の目的は、AIやブロックチェーンなどの技術を金融やヘルスケアに活用していく技術を競い合うこととなっています。
「經濟日報」の記事と合わせてイベントの内容を見てみると、優勝賞金は10,000アメリカドル、台湾内外の30のグループが参加、今日6月15日は趣旨説明とスピーチ、交流会などがおこなわれ、夜から本格的に競技開始のようです。
2日間の開発期間のなかで、どのグループが優勝し、どのような作品が開発されることになるのか…続報を追いかけたいと思います!
ちなみに、これは全然関係ないことなんですが、中国語で「ハッカソン」は「黒客松」と書くんですね。
英語の音を中国語の音に当てはめた漢字なのですが、これを見るといつも、台湾で一番有名な炭酸飲料「黒松沙士」を思い出すんですよね…
僕は炭酸飲料が体質的にダメなので飲んだことがないのですが、日本人の友人いわく、「コーラに漢方薬を混ぜた味」、「湿布の味」との評判です。
台湾にお越しの際はぜひお試しください。(一応、黒松沙士のウェブサイトはこちらです)
先に挙げたプログラムによれば、今回のハッカソンは国際的な団体である「INFORMS」と台湾の「亞洲大學(Asia University)」、および会場校である台北医学大学の共催で開催されたとのことです。
INFORMSは正式名称を「The Institute for Operations Research and the Management Sciences」といいます。
中国語では「運籌及管理科學學會」と表記されています。
名称そのままですが、公式ウェブサイトによると、オペレーションリサーチとマネジメントサイエンスに関する国際的な学会として、この分野に関するさまざまな活動を世界各国で展開しているようです。
その活動の一環として、ハッカソン終了後の6月17日から20日まで、台北で国際会議を開催する予定になっています。
サイトに掲載されている会議の情報によると、議題として、ヘルスケアアプリケーション、循環経済、エコノミックインターフェース、機械学習、ビッグデータ、サプライチェーンなど、多彩なテーマが並んでいます。
「經濟日報」の記事にも会議のことが報じられていますが、台湾でINFORMSの国際会議が開催されるのは初めてのことで、25の国家から1,000名を超える会員が参加する予定という大きな大会になるようです。
こうした国際会議のいわば「プレイベント」として、今回のハッカソンが開催されたということのようですね。
また、共催に名を連ねている亞洲大學(亜州大学)は、こちらの記事にも少し書きましたが、ブロックチェーンの開発に積極的な大学のひとつです。
さらに、ハッカソンの後援には台湾のフィンテックに関する産官学の連携組織である「台灣金融科技協會(台湾フィンテック協会)」も入っています。
科学技術に関する産官学の連携に国際的な組織が加わって、グローバルに人材を育てていこうという姿勢が見えてきますね。
INFORMSが国際的なハッカソンを開催するのは今回が初めてとのことです。
「經濟日報」の記事には、その初めてのハッカソンが台北で開催されたことには「重大意義」、とても大きな意味があると説明しています。
それは、プログラムの冒頭に掲げられた、以下のようなハッカソンの目的と関係があると思います。
隨著人工智慧、區塊鏈、雲端和物聯網技術的迅速發展及其應用,現有的商業模式也逐漸受到改變,而加密貨幣更是加速了各式的創新,進而創造出代幣經濟。
(人工知能、ブロックチェーン、クラウド、IoT技術のスピーディな発展とその応用につれて、今のビジネスモデルも徐々に変わっていく。暗号通貨もまたそれぞれにイノベーションが加速し、トークンエコノミーが生み出されていく)
世界的に展開されるこうした新技術をめぐる大きな動きに、台湾も積極的にかかわっていくという姿勢が感じられるとともに、世界も台湾にそうした役割を期待していることが伝わってきます。
台湾にはブロックチェーンをはじめとする新たな技術の種がまかれている段階です。
その種を見事に開花させ、結実するよう、さまざまな形で手をかけている様子が感じられますね。
国際的な動きと台湾の動向、グローバルとローカルの相互連関の動きを、これからも見つめていきたいと思います!
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文中に挙げた記事のほか、台湾のブロックチェーンをめぐる国際的な動きについては、こんな記事も書いています。
台湾の立法委員許毓仁さんが国連の「ブロックチェーンサミット」で発言したそうですよ!
COMPUTEX TAIPEI 2018でブロックチェーンに熱い視線が注がれていますよ!
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