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中国政府機関が主要仮想通貨に格付け!?…のニュースを使って語彙と知識を増やしてみました

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  • kaz
  • 2018/05/14 14:57
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仮想通貨・ブロックチェーンをめぐる中国の動向は、日本も含め世界中が注目していますね。もちろん、出所不明の怪しい情報が飛び交うこともありますが、政府機関の動向というのはその影響力と相俟って多くの人々の耳目を集めていると思います。

そんななか、ここ2・3日のあいだに、中国の政府機関が主要仮想通貨の格付けをおこなうというニュースが流れました。もうすでに、日本語で読める仮想通貨関連のニュースサイトにも記事が配信されていますし、ALISでもほくほくさんが記事にされていますね。

特に、ほくほくさんが挙げてくださっている英語のニュースソースは詳細に渡ったレポートとなっているので、英語圏の情報を得ることができる方には、それ以上の情報は必要ないかなと思ったのですが…

ただ、政府機関の公式発表や中国のニュースサイトの記事と照らし合わせて見てみると、中国の動向をキャッチするための語彙と知識を増やすことができそうに感じたので、既報のニュースを「深堀り」する、というよりも、世界の動向を掴まえるための材料を、ほんの少し提供するという気持ちで、僕の視点から記事にしてみようと思います。

(例によって、文中の日本語訳はざっくりとした粗訳ですので、厳密なものではありません。参考までにとどめて読んでいただければと思います(^^;)


CCIDからの発表

ニュースの発信元は、中国のCCID(China Center for Information Industry Development、中国电子信息产业发展研究院)のシンクタンクが、2018年5月11日付で公表した「我院组织召开公有链技术评估专家研讨会(私たちのセクションがパブリックチェーン評価専門家シンポジウムを開催しました)」という記事のようです。

CCIDは1995年に設置された、認証評価、メディア、ソフトウェアなどを研究し、政府や企業に提言を行う専門機関であり、現在は中央省庁のひとつである「工业和信息化部(工信部)」直属の研究機関として位置づけられているようです。

ちなみに、CCID本体のウェブサイトには「CCID赛迪」と書かれているので、この略称は「サイディ」と呼ぶようですね。

このCCID本体のウェブサイトにも、シンクタンクからの転載という形で今回の記事が掲載されています。僕の記事では、こちらのサイトの文章を基にまとめていきます。


「全球公有链技术评估指数」を毎月実施?

ほくほくさんがソースとして示してくださっている英文記事には、CCIDが「announced its inaugural monthly Global Public Chain Assessment Index」、つまり、「Global Public Chain Assessment Index」の毎月実施をアナウンスした・公表したと書かれています。

日本語の記事では、このあたりを踏まえて、CCIDが「Global Public Chain Assessment Index」を発表したと書いているところもあるようですね。

CCIDの元記事を見ると、以下の文章が該当しそうです。

首期全球公有链技术评估指数将于近期发布,中国电子信息产业发展研究院官方网站将作为评估指数的唯一指定发布平台。(初回の「全球公有链技术评估指数」は近日発布され、CCID公式ウェブサイトが「评估指数」のただひとつの指定発布プラットフォームとなっている)

この「全球公有链技术评估指数」というのが、英語の「Global Public Chain Assessment Index」にあたる表現だと思いますが、この中国語文章を見てわかるのは、この「インデックス」は、現時点では未発表ということですね。英文記事もそのあたりのニュアンスはちゃんと汲んであります。

→2018年5月17日補足:第1回のインデックスが公表されました。記事を書きましたので合わせてご参照ください。中国のCCIDがパブリックチェーン(仮想通貨)の格付けを公開しました!

あと、気になるのは、「毎月実施(monthly)」という表現が、CCIDの記事には見当たらないんですよね。この記事に限っては見落としてはいないと思うのですが…

「首期(初回)」というところに毎月のニュアンスが入っているのかな?もしかしたら、どこか別にソースがあるのかもしれません(^^;

なお、CCIDの記事によれば、この指数はこれまでに、CCIDの「区块链研究院组织(ブロックチェーン研究院セクション)」が調査活動を実施し、「赛迪智库、中国软件评测中心等(CCIDシンクタンク、CSTCなど)」と共同で進めてきたと書かれています。

中国软件评测中心(China Software Testing Center)は公式ウェブサイトによれば、工信部管轄の科学研究に関する第三者評価機関のようです。研究機関、シンクタンク、評価機関などが共同でブロックチェーンの認証評価システムを構築してきたんですね。


仮想通貨の評価基準

5月14日に開催されたこの会議では、「公有链评估对象的认定标准(パブリックチェーン評価対象の認定標準)」が確定され、その標準に基づいて「首批评估对象名单(第一回の評価対象リスト)」が決められたと書かれています。

まず、「認定標準」については、以下の5点が挙げられています。これはCCIDの記事と、ほくほくさんが示してくださった英文記事とがピッタリ合っていますので、並べて示したいと思います。

1.具有自己独立主链(The project should have its own independent main chain)
2.公有链节点可自由创建(Nodes can be freely created)
3.具有公开的区块浏览器,区块信息可查阅(It should have a published block explorer where block information can be easily tracked)
4.代码开源(It needs to run on open source code)
5.拥有项目主页,项目团队可联系(It should have an open website that project team members that are contactable)

ブロックチェーンを評価する際の技術的な着眼点がシンプルにまとめられている感じがしますね。僕としては、内容はもとより、「主链(メインチェーン)」、「节点(ノード)」、「区块浏览器(ブロックエクスプローラー)」、「代码开源(オープンソースコード)」など、専門的な用語が並んでいて勉強になります。


初回の評価対象

以上の標準を基に、初回の評価対象となったものが、以下の28種の仮想通貨です。

CCIDの記事中の表記のとおりで、( )に英語名を補足しています。英文記事はアルファベット順ですが、ここではCCIDの記事に挙げられている順番に並べています。

比特币(Bitcoin)

以太坊(Ethereum)

瑞波币(Ripple)

莱特币(Litecoin)

比特币现金(Bitcoin Cash)

卡尔达诺(Cardano)

恒星币(Stellar)

NEO

埃欧塔(IOTA)

门罗币(Monero)

达世币(Dash)

新经币(NEM)

以太坊经典(Ethereum Classic)

量子链(QTUM)

纳诺(NANO)

应用链(LISK)

大零币(Zcash)

Verge

Stratis

云储币(Siacoin)

斯蒂姆币(Steem)

比特股(BitShares)

字节币(Bytecoin)

波币(Waves)

Decred

超级现金hcash

科莫多币(Komodo)

ARK

これらは「初回」の評価対象ですから、今後、増減があるのだろうと思います。個人的には、仮想通貨の中文名の知識が一気に増えて、今後の情報収集に役立ちそうです。

中国の検索サイト「百度」の記事によれば、評価は近日中に公表予定とのことです。2019年末には全国的なブロックチェーン基準を定めたいとのことで、これから着々と進められていくのだろうと思います。


結論はありきたりですが…

…長々と記事を書いてきましたが、最終的なオチはほくほくさんと同じで、中国政府の動向からは目が離せませんね!というところなのですが(^^;

こうした情報をわかりやすく、スピーディに伝えることが、変化の激しい仮想通貨界隈にとっては大切(しかも、時間のない投資家にとってはコンパクトな記事が大切)なのだと思うのですが、そうした速報性のある記事は上手い方がたくさんいらっしゃるので、そちらにお任せするとして、僕のほうは後から参照可能な形の記事を残していこうかなと思います。

今回のCCIDの動きは、速報的にもニュースバリューがあるとともに、中国のこれからの動向を見ていくための基礎知識にもなる内容だったと思います。

これをひとつのリソースとして、これから中国の動きも追っていけたらと思います!


kazの記事一覧はこちらです。よろしくおねがいします。(下のアイコンからもご覧いただけます)https://alis.to/users/kaz

中国のブロックチェーンについては、こんな記事も書きました。

中国の「ブロックチェーン金融サービス白書」を読んでみました…いや、読み始めました(^^;


公開日:2018/05/14
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本職のフィールドである台湾・香港・中国の情報を中心に、自分が「面白いな!」と思ったことを記事にしています。Twitter: @kazALIS2

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