台湾・香港をはじめ、中華圏の仮想通貨・ブロックチェーンの情報を追いかけつつ、そこを窓口にブロックチェーン技術の周辺を(ガチガチの文系なりに)幅広く学んでいます。
ただ、やっぱり中国の動向もちゃんと見ておく必要があるんですよね…中国の動向は、変化がとても激しく、また広範囲に渡るため、尻込みしてしまってなかなか追いかけられないんですよね。
中国大陸の政治・経済・文化の文脈を、僕がいまいち理解しきれていないということもあるんですが…(^^;
とはいえ、コツコツ勉強しないといけないなと思い、今年の4月2日に公表された「区块链金融应用白皮书(ブロックチェーン金融サービス白書)」を読み始めています。
詳細はいつか、奥悉太さんがわかりやすく解説してくださると勝手に信じつつ…
とりあえず、ネット記事を手がかりに、少しずつ読み始めていますので、用語の備忘録を兼ねて、記録をしておきたいと思います。(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳ですので、厳密なものではありません。参考までにとどめてご覧ください)
2018年4月2日付で、京東金融研究院(京东金融研究院)と政府機関である工信部信通院が連名で「区块链金融应用白皮书(ブロックチェーン金融サービス白書)」を公表しました。
白書の全文は中国貿易金融网に掲載されています。
僕がこの白書を目にしたのは、経済参考報(经济参考报)のこちらのネット記事でした。経済参考報は新華社系列の経済紙ですから、政府関連の経済情報は確実に報じてくれていると思います。
記事には、京東金融研究院の院長である孟昭莉さんのコメントが掲載されていて、この白書の基本的な考え方が理解できます。
孟さんの象徴的なコメントとしては、「区块链不等于币圈。技术是中性的,关键看应用的领域和场景。(ブロックチェーンはコインサークルと同義ではない。技術は中立なもので、鍵はサービスの領域と戦略である)」として、「如果没有真实的应用场景,区块链技术将失去生命力。(もし本当のサービス戦略がなければ、ブロックチェーン技術は生命力を失ってしまうだろう)」という部分です。
奥悉太さんのこの記事で勉強しましたが、中国のブロックチェーンへの注目と、仮想通貨を切り分けて捉える視点が、このコメントからも垣間見える気がします。
白書の中心的なテーマとして、10の金融サービスへのブロックチェーンの応用が挙げられています。10の金融サービスとは、以下のとおりです。
资产证券化(資産証券化、セキュリタイゼーション)
保险(保険)
供应链融资(サプライチェーンファイナンス)
场外市场(OTCマーケット)
资产托管(ファンドトラスト)
大宗商品交易(コモディティ取引)
风险信息共享机制(リスク情報共有メカニズム)
贸易融资(トレードファイナンス)
银团贷款(シンジケートローン)
股权交易交割(株券受渡)
…ふぅ、こうした言葉のひとつひとつを拾っていくだけで、慣れていないとなかなか大変です(^^;
でも、漢字の表現のほうが、なんとなく、事の本質がイメージしやすいように思うんですけれど、それは中国語に慣れ親しんでいるからでしょうか?
白書はこうしたサービスが、コストや処理スピードなどの面で、恒常的にデメリット(痛点)を抱えていて、ブロックチェーン技術を利用することで、こうしたデメリットを解消することができるとしています。
とりわけ、上記の経済参考報の記事によれば、こうしたサービスにコンソーシアムチェーン(ConsortiumChain、联盟链)を導入することにより、金融サービスの現在の需要に合致したサービスを構築することができると指摘されています。
ブロックチェーンの現実的な活用を、政府と金融界との共同歩調で着実に進めていこうという意欲を感じます。
白書の内容はまだまだ読み込んでいかないといけないのですが、新たな技術であるブロックチェーンをさまざまなサービスに応用していくためには、サービス開発が大切なのはもちろん、そうした環境を着実に整備していく必要があるとの思いを強くします。
そのためには、制度整備を図る機関がビジョンを持って、方向性を明確に打ち出していく必要があるのかなと思います。
中国の動向は、多かれ少なかれ、中華圏の各地、あるいは世界の状況へと影響を与えていくと思いますので、コツコツと押さえていきたいと思います。
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台湾の仮想通貨・ブロックチェーンの法令関係について、以下のような記事も書いています。
フィンテックについての台湾の新しい法令を読んでみました(レギュラトリー・サンドボックス)
台湾の「フィンテック白書」を読んでみました(ブロックチェーンの方向性は?)