日本では最近、仮想通貨取引所に対する話題がなんだか喧しいですね(^^;
仮想通貨が投資対象として注目されている現状のなかでは、その投資商品をやり取りする取引所が焦点化されるのはある程度仕方がない気がします。
とりわけ、コインチェックのNEM流出事件から取引所の安全性について注目が…というより、懸念が多方面から示されていますね。
「區塊鏈元年(ブロックチェーン元年)」を迎えている台湾でも、仮想通貨取引所の開設が相次いでいますが、安全性をどのように担保するのかということは大きな課題のひとつとなっています。
そうした問題に「HEX」という形で対応しようとする新しい仮想通貨取引所が、2018年5月に開設されました。
取引所の名前は「JOYSO」と言います。世界で初めての「HEX」ということで注目を集めていますので、少し書き留めておきたいと思います。
・世界で初めての「HEX」!?
・「JOYSO」の創業者ってどんな人?
・「JOYSO」のパートナーに注目!
・「HEX」は広がっていくか?
台湾のブロックチェーン関連情報サイト「動區動趨BlockTempo」が報じた記事によると、台湾のスタートアップである「JOYSO」が、世界で初めての「HEX」を2018年5月7日に開設したということです。
「HEX」というのは、「Hybrid-decentralized Exchange」の略で、中国語では「混合式去中心化交易所」と表現されています。日本語に訳すとすれば、「ハイブリッド分散型取引所」となるでしょうか。
いったい何が「Hybrid」なのか?これについては記事のなかで、JOYSOの創業者である宋倬榮さんが以下のように説明しています。
看見了去中心化交易所不佳的使用者體驗(區塊鏈上的交易效率低),同時也想改善中心化交易所面臨的安全問題(資產容易被駭客攻擊)
(分散型取引所のいまいちなユーザーエクスペリエンス(ブロックチェーン上での取引は効率が悪い)を見つけ、同時に中央集権型取引所が直面している安全性の問題(資産が簡単にハッカー攻撃を受ける)を解決したい)
つまり、分散型取引所(DEX)と中央集権型取引所がそれぞれに抱える問題点を解決するために、両者のよいところを「Hybrid」するということのようですね。
もう少し具体的には、ユーザーの資産の保管は各ユーザーのウォレット内で保管され、ユーザー間の取引はJOYSOが構築したイーサリアムベースのスマートコントラクトによって実行されるとのことです。
これによって、取引所がユーザーの資産を保管しないことによって、分散型取引所の利点である安全性を確保し、同時に、JOYSOがユーザー間の取引を仲介することによって、中央集権型取引所の利点である効率化を実現するということのようです。
ウォレットについてはMetaMaskをサポートしているということですから、DEXを使用しているユーザーにとっては違和感なく使用できそうですね。
また、ERC-20トークンを取り扱っているということで、取引所のサイトを見てみると、イーサリアムとの取引が可能なトークンは、2018年6月27日現在で48種類に上っています。
まだ開設されたばかりですから、板はまだまだ薄いようですが、これから取引量がどれほど増えていくのか注目です!
JOYSOの公式ウェブサイトに掲載されているホワイトペーパーによれば、プロジェクトとして開始されたのは2017年10月、そこから1年も経たないうちに取引所の開設まで至ったということのようです。
また、JOYSOは2018年3月にICOを実施していたようです。公式サイトによれば、発行トークンは「JOY」、1ETH=10,000JOYのレートで、プライベートセールを通じて7072.36 ETHを調達したとのことです。
ブロックチェーン関連情報サイトの「區塊客blockcast」が2018年2月に、JOYSOの創業者でCEOの宋倬榮さんにインタビューをした記事によると、宋倬榮さんはもともと、マイニング機器に使用されるICチップと、マイニング機器の製造にかかわっていたようです。
2013年からこうした機器の開発などにかかわると同時に、宋倬榮さん自身も仮想通貨の取引をおこなっていたそうで、そのときに起きたのが、Mt.GoxやBitfinexの仮想通貨消失・流出事件…宋倬榮さんも大きな被害を受けたとのことです。
その後、イーサリアムが生まれ、スマートコントラクトの可能性が示されたことに感銘を受けて、DEXとして有名な「EtherDelta」などに触れて、取引所の新たな可能性をイメージするようになったと語られています。
宋倬榮さん自身が、仮想通貨の黎明期から投資家であり、投資家としてかかわってきた経験が、JOYSOの立ち上げにつながっているということがわかりますね。
公式ウェブサイトによれば、JOYSOは以下の企業と、パートナーとして提携しているようです。
MakerDAO
ETHFANS
NTTデータ
CoolBitX Tecnology
日本との関連でいえば、NTTデータとCoolBitXが目に付きますね。
NTTデータからは顧問として、NTTデータ台湾のゼネラルマネージャー(恩悌悌數據股份有限公司台灣區總經理)である謝禎國さんが入っています。
また、CoolBitXと言えば、日本のSBIホールディングスが出資したコールドウォレットの開発企業として知られていますね。日本語サイトも公開されています。
JOYSOのMediumページに掲載された情報によると、CoolBitXとはモバイル取引のシステムに関する技術提携のようです。
そのほか、ステーブルコイン「DAI」を発行しているMakerDAO、中国のイーサリアム関連のテクニカルプラットフォームであるETHFANSなど、多様な分野をカバーする企業と提携していて、今後の事業展開が注目されますね。
世界で初めての「HEX」として開設されたJOYSOですが、ホワイトペーパーを見ていると、既に多様な形で展開されている「DEX」の動向を意識していることが伝わってきます。
JOYSOのホワイトペーパーに挙がっているDEXは、EtherDelta、0xProject、AirSwap、Kyber Network、Bancorなど、著名な取引所が並んでいます。
こうしたDEXのユーザーエクスペリエンスには改善の余地があるという問題意識が、JOYSOを生み出す原動力になったようですが、同時に、JOYSOが提示するHEXが成功するかどうかということを、おそらくDEXの関係者も注目しているはずです。
公式ウェブサイトに公開されているマイルストーンによれば、2018年9月から2019年にかけて、モバイル取引サービスの公開やAPIの公開、公式ウォレットの開発などを進めていく予定となっています。
こうしたサービスの開発を通じて、JOYSOのプラットフォームにおけるユーザーエクスペリエンスが本当にユーザーに受け入れられるかどうかということがキーポイントになりそうです。
取引所の新たな形としての「HEX」がどうなっていくか…これからもコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!
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