ブロックチェーンの発展・普及にとって、スタートアップ(新創公司)が果たす役割は大きいですよね。
そのうえで、こうしたスタートアップを支援する企業の役割もまた重要なものがあります。
以前、台湾のスタートアップアクセラレーターのAppWorksについて記事を書きましたが、このプログラムを受けて、台湾や東アジア・東南アジアのスタートアップが数多く羽ばたいているようです。
今日はそのうちのひとつとして、香港のブロックチェーンスタートアップについて書かれた記事が目に留まったので、少し書き留めておきたいと思います。(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳なので、参考までに止めてご覧ください(^^;)
・ブロックチェーンで金融インフラを構築する!?
・鄧進一さんって?
・香港から世界へと飛躍する!
スタートアップに関する記事を掲載している台湾のニュースサイト「Meet」に、連続起業家としてStandardKeplerの創業者でありCEOの鄧進一(David Tang)さんのインタビュー記事が、2018年6月5日付で掲載されています。
StandardKeplerは鄧進一さんが2017年3月に、ブロックチェーンの技術開発を主眼として香港に創業したスタートアップです。
StandardKeplerの公式ウェブサイトによれば、現在、以下の3つのサービスを提供しています。
ICO顧問服務(ICO Advisory)
經紀服務(Brokerage)
研究分析(Research)
この3つのサービスについては「Meet」も取り上げています。とりわけ、「ICO顧問服務」についてはStandardKeplerの中心(核心)的事業であり、強み(強項)であると紹介しています。
台湾のニュースコミュニティサイトである「Knowing」に掲載された記事によれば、2017年3月に創業してから年末までに13社のICOに対してアドバイザー業務をおこない、4億アメリカドルを超える資金を集めたと書かれています。
この「ICO顧問服務」を軸として、ICOトークンをICO実施企業と投資家のあいだをとりもつ取引所を開設して売買をおこなうと同時に、ICOマーケットについて調査を行う研究機関を取引所に付属させる形で設置しているようです。
また、企業顧客に対する投資アドバイスや仮想通貨ローン・イーサリアムローンの提供などを展開していて、「金融×ブロックチェーン」を現実的なサービスとして展開していることがうかがえます。
「Meet」の記事中、こうしたサービス展開について鄧進一さんは以下のように説明しています。
我們的長遠目標,就是要在區塊鏈上面建立一個金融底層,也就是 Financial Infrastructure 的 Blockchain。
(私たちの長期目標は、ブロックチェーン上に金融基盤を確立することです。それはまた、ファイナンシャルインフラストラクチャーのブロックチェーンでもあります)
「金融インフラ構築を目指す」とはなかなか壮大な計画のように感じますが、そうした目標に向けたサービス展開をコツコツと進めていることが感じられますね。
「Meet」の記事には、「連続起業家(連續創業家)」としての鄧進一さんの、これまでの経歴についても書かれています。
StandardKeplerはAppWorksのアクセラレータープログラムを受けて創業されましたが、記事によれば鄧進一さんがこのプログラムを受けたのは2回目であるようです。
1回目にプログラムを受けた時に始めたサービスは「GetMeCV」という求人サービスのプラットフォームだったようですが、これは失敗したと記事に書かれています。
失敗の理由として鄧進一さんは「我們知道自己不太適合做直接面對大眾客戶的 Business。(私たちには自らが直接ユーザーと顔を合わせるビジネスがそれほどマッチしていないということを知った)」と語っています。
そこから、ユーザーと直接顔を合わせるのではない、基盤技術してのブロックチェーンの開発へと向かって行くという、転身のありようは興味深いものがありますね。
上に挙げた「Knowing」の記事には、ブロックチェーンには根本から人々の情報接触モデルを変えていく力があるという鄧進一さんのブロックチェーンへの視点を紹介したうえで、以下のような彼の言葉を掲載しています。
區塊鏈有潛力改變現行世界!區塊鏈技術會為我們帶來真正的價值。
(ブロックチェーンには今の世界を変える潜在力がある!ブロックチェーン技術は私たちに本当の価値をもたらす)
企業の「失敗」を糧としたブロックチェーンへの意気込みが感じられます。
StandardKeplerは、2017年3月に創業されましたが、同じ年の9月に大きな「危機」に直面したようです。
それは、中国における国内ICOの全面禁止措置でした。
「Meet」の記事のよれば、このときにすべての顧客を失い、保有していたICOトークンの価値も急落したとのことで、企業存続の危機だったことが伝わってきますが、速やかに問題解決の方法を模索した結果、中国・アジアからの脱出(走出)を目指したそうです。
StandardKeplerの現在の顧客はアメリカ、オーストラリア、シンガポールといった地域に広がっているとのことで、「危機」に直面したことがかえって世界への飛躍を促したといえるかもしれません。
ブロックチェーン・仮想通貨はグローバルな舞台でさまざまなチャレンジが展開されている技術・サービスなので、「ある場所」で通用しなければ、広い世界へつながっていけばいい…ということを、StandardKeplerの動きは身をもって示しているように感じます。
いろんな問題に直面しても、またそこから新たな技術・サービスが生まれてくる。黎明期にしか見ることのできない展開に立ち会えていると思うと、それだけでワクワクしますね!
これからも、この黎明期の動きをコツコツ書き留めていきたいと思います!
kazの記事一覧はこちらです。よろしくおねがいします。(下のアイコンからもご覧いただけます)https://alis.to/users/kaz
文中に挙げたAppWorksのアクセラレータープログラムについては…
AppWorksがAI・ブロックチェーンのスタートアップ支援をおこなうようですよ!
香港のブロックチェーン・仮想通貨関連については、こんな記事も書いています。