マイナンバーカードには氏名の後ろに数字が1。
次の行には氏名の後ろに2、そして3。
気になった涼太は先生に質問してみることに。
3.評価経済と個人トークン
「みんな、プリントを見てくれ。ここからはトークン選択の話だ。簡単に言えば、みんなの評価が価値になるんだ」
「どーいうこと?学校の成績がトークンになるのか?」
「ご名答。涼太、今日は頭が冴えてるじゃないか。みんなが学生のうちはトークン選択の一つは絶対に学力になる。みんな高校1年生から毎月学力テストを受けているな?あれは、全国で統一されているテストで、そこから順位に応じたトークンの価値になるというわけだ」
終わったと思った。
俺は勉強が得意じゃないから、トークンの価値低いじゃねーか。
その時、隣の席に座っている背の高い和也がチラリと視界に入った。
そうだ。
「勉強以外で活躍してるやつは評価されねーの?」
先生は目を真ん丸にして、
「どーした、涼太。今日の頭の冴え方は鋭すぎるぞ。
さっき名前の後ろに1、2、3と数字が刻まれているトークンの質問があったな。学生の間、1のトークンは学力に決定される。だが、それ以外の2・3のトークンに関しては君たちが世間で評価されるであろう分野を好きに選んでいい。ただし、一度決めた分野は5年間変更は出来ない。」
先生はふーと一息つく。そして、また悠長に語りだす。
「そして、数字の上から順番に影響力がある。国家の機密事項だから、計算方式はわからないが、1→2→3の順番に君たちのトークン評価に対して影響力が大きいということだ。そしてその3つの影響力をひとまとめにしたものが君たちそのもののトークンになる。つまり、学生である以上、一番君たちのトークンに影響を持つのは学力だ」
ここまで、話しきったところで先生はゆっくりと机に手をかけよりかかる態勢を取りながら、俺たち生徒を見回した。
「先生の時は、こんな仕組みではなかったんだ。会社に入った時、新入社員として給料として日本円を貰っていた。君たちは違う。18歳になった時点で、国から各自の名前のトークンをもらう。そして、その評価は毎月変動していく。つまり君たちは努力することで、トークンの価値をしっかりと育てていかなければならない。」
外では風が、桜の花びらを舞い上げる。
「先生には、どちらがいいシステムなのかはよく分からない。ただ、トークンの価値を上げることは努力次第でいくらでも可能だ。評価される何かを見つけることがこれから君たちを大きくする!」
先生は力が入っていたのだろう、額から汗が流れていた。
そこまで熱弁するほど大事な授業か俺にはよく分からなかったけど、なんかそれなりには、ちゃんと決めようと思った。
次回もお楽しみに!