先生は、個人トークンに関して熱く語りだす。
学力・特技その全ての個性が、
個人トークンとして反映されて、評価される。
熱く、熱く担任は語る。
4.和也はモテトークン?
先生の説明が一通り終わり、トークンを設定する時間になった。
学生だから、第一は学力で決定。
あとは第二トークンと第三トークンか。
隣の席で真面目に考えている和也が、どう決めるのか気になって仕方なかった。
「和也。第二トークンはバスケだろ?」
和也の肩に手をまわしながら、トークンの事を尋ねる。
大井和也。
こいつとは、高一からずっと同じクラス。
きりっとした目つきに、スポーツマンらしいすっきりした短髪。
そして、その運動神経の良さ。
バスケ部ではキャプテンを務めていて、全国大会出場の経験あり。
身長も軽く180㎝を越える。
そして、何より女子にモテる。
悔しいかな、モテる。
本当にモテる。
そーいやモテトークンってなかったかな…
広辞苑並みにぶっとい「トークン分類表」で調べてみるか。
「涼太、そこ邪魔。ちょっとどけ」
軽く和也に手をあしらわれた。
「第二トークンバスケで、第三トークンモテトークンで決まりだな」
「そんなトークンねーよ」
「いや、あるかもしんないだろ…?」
トークン分類表をぱらぱらとめくってみる。
色々なトークンを見ながら、確かめる。
語学、スポーツ、芸術、IT、分析、研究、専門、技能…
うん、ねーな。
少しがっかりした。
ゆっくりパラパラとめくっていき、最終ページにたどりつく。
そこで、手がとまった。
「トークン説明の補足
1. トークンは、誰かに譲渡することが可能です。もらった相手の価値の変動に応じて、相手氏名トークンの価値も変動していきます。
2. トークンは、さまざまな分野に対応しています。どの分野のトークンを選択しても、基本的に1‐2か月の間に1度国家が定めた試験を受けていただく必要性があります。
この試験に欠席すると、無条件に15%のトークン価値が減少することとなります
3.トークン試験は、ある一定の影響力を有する者には免除措置がございます。
その条件は別ページにて説明がございます。
4.もし、譲渡されたトークンの譲渡主がなくなった場合も、トークンは電子上で残り続けます。その場合、トークン価値の変動は通常通りあるものとし、トークン価値が0になった時点で自然消滅します。
5.婚約をした場合、互いのトークンは1つの財布(ウォレット)で管理することになります。家族の関係である場合、所有者の許可があれば、他の者が自由に家族のトークンを使用することが可能です」
ここまで、読んで俺は頭が痛くなった。
ルール多すぎだろ…
俺が知りたいのは、モテトークンがあるかどうかだけだって。
一応、このページだけは頑張って読もうと決めた俺に、
ご褒美があったのかその下の
注意事項にこんなことが書いてあった。
「※よくお問い合わせに、男女の魅力をトークンにしろとございますが
価値判断が非常に困難なため、このようなトークンを設定することは出来ません」
…無いのかよ。
黙々とトークン分類表を読み込む和也に
「モテトークンないらしーわ」
がっかりしながら教えてあげた。
「そりゃそーだろ」
俺の方を見向きもせずに冷静な指摘だけが返ってきた。
さて、俺はどんなトークンを設定しようか…
人生の方向性を決める瞬間が、着実に俺のもとに迫っていた。
・第一話
・第二話
・第三話
次回もお楽しみに!