コロナ引きこもりのおかげで、お題記事をもうひとつは書けるかな。
自分の弟は、生まれてすぐに新生児ICUに入れられた。
へその緒が絡まっていて、腹部の肋骨が一部曲がっていたり、皮膚が開いている場所があったからだ。
生まれる時まで分からなかった。へその緒による恐ろしいトラブルって、他にも身近で聞いたことがあるが、今はもうちょっと、わかるようになっているのだろうか。
生まれてすぐに家に赤ちゃんが来なくて、どうなったのか、4歳の自分にはわからなかった。
出産する母をサポートするために、大阪から来てくれていた祖母から教えてもらったのは、ご飯茶碗のごはん食べ終わりそうな頃に、お茶を入れて、掻き込むように食べる、ということと、具合が悪くなりそうなときは、首にタオルを巻く、ということだった。
老人ホームに入って、鳥かごの中のような生活です、という手紙をくれた祖母はもうだいぶ前に他界したが。
その祖母の一番のお気に入りの孫は、弟だった。
赤ちゃん時代に二回も大手術をした弟は、虚弱な子供として、大切に育てられた。
ケガさせないように、自分も気を遣わないといけないんだな、と思った。
幼児の頃、母が弟を、フルートの教室に連れて行った。
手術した腹筋を鍛えるために、腹式呼吸をする楽器が良いと聞いたからだ。
弟は小学校時代、ヤマハの音楽教室でフルートを習っていたが、G線上のアリアくらいしか、吹いていた記憶がない。
色々吹けなくてもいいから、とりあえず、続けるということだったのかなぁ・・・
腹筋をつけるためと、腹部の傷を恥ずかしがらないようにするため、フルートと同時に水泳教室にも通わされていた弟。
どちらの習い事も、母親に言われるがまま。
中学で彼はその二つともやめた。
弟が中学生の頃、自分の周りではハードロックが流行っていて、その文化を家に持ち込んだ私のせいで、弟がハードコアにいったと、親に言われた。
幼いころの腹部の傷はどこか分からないほど小さくなり、子供の頃に大事に育てられて、優しく育ち、ボランティア活動などもしていたが、
フルート少年は、今では、両耳にピアス下げて、タトゥー入れた手で、子供の手を引くお父さんである。
まだフルート吹けるかどうかは知らない。