以前『日本では当たり前の文系と理系の分け方は、実は全然当たり前ではない件について』という記事で、何故日本の分け方は欧米と違っているんだろう的なことを書いていましたが。
その時に「何で欧米ではこの分け方(社会科学の学問が理系の相当)なんだろう?」とも思ったのですが、そのまま放置していました。
このことをふと思い出したので、書き残しておこうと思います。
その前に社会科学の社会について、以下、ウィキペディアより引用。
社会科学における「社会」という概念は、自然と対比されているものであるが、この「自然 / 社会」という対比は、遡れば古代ギリシャの「フュシス / ノモス」という対比的概念にまでさかのぼることができる。
では、いきます。
まず、欧米では「神がお創りになったものか、人が作ったものか」で分かれます。
「神がお創りになったもの」が「ネイチャー」であり、これが「自然科学」です。
「人が作ったものか」が「アート」であり、これが「人文科学」です。
そして経済学は日本では文系ですが、欧米では文系ではありません(欧米では、日本の文系と理系のように明確な区別はありませんが、強いて言えば)。
というよりも、経済学を含む「社会科学」は「自然科学」と同じ方に入るとのことです(故に「人文科学」の方ではありません)。
何でー???
と思いませんか。
私は思いました。
それでもうちょっと詳しく調べてみると、以下。
「神がお創りになった自然を、追求し解明していく=自然科学」
「人が作ったもの、作る行為、その積み重ね=歴史、芸術、文化」
というわけで後者は、歴史は人々が作ったものであり、芸術は人が作る行為によって作品ができ、人々の芸術作品や芸能活動が文化を作る、という話のようです。
つまり社会科学は「(自然ではないけど)社会を対象として、追求し解明していくというところが自然科学に近い」ということかもしれません。
しかし私は、これはタテマエじゃないかなーと疑っています。
つまり本当の理由は違うのではないかと、それも隠したいものではないかと。
そもそも社会科学は後からできた学問でした。
それで「後からできた学問の社会科学をどこに入れるのか」という話になります。
で、その時に「人文科学じゃないよねー」となったのではないかと思ったのです。
その理由をはっきり言いますと「お金持ちの道楽(=教養)ではない。だからお金持ちには相応しくない」ではないかと。
さらにもっとはっきり言うと以下です。
「経済学を学んでお金持ちに?……いや、俺ら金は腐るほどあるから要らんし」
「社会学を学んで社会のことを……って、俺ら金持ちは一般大衆に興味ないし」
つまり「人文科学とは、元はギリシャ・ローマ時代の自由民のための学問であるリベラルアーツの流れを汲むものであり、その流れに社会科学は相応しくない」と判断されたのではないかと、私は疑っています。
くどいようですが、これは私が個人的に疑っているだけです。
と、まぁ、本当の理由はさておき、社会科学は人文科学ではなく自然科学の方に配置されることになったわけですが。
これを明治時代に日本に持って帰る時に、何故文系の方になったのかと言えば、それが冒頭のリンク先の記事の話でした。
(すんません、もう一回リンクしました。ご興味ある方はよろしく)
日本は植民地にされるのを回避するため「富国強兵」という政策をとりましたが、中でも後者の「強兵」の方が優先順位の高いものでした(お金持ちになっても軍事力で他国に支配されたら終わりですから)。
そのためには銃や戦車、空母、あるいは機雷や毒ガスなどの強力な武器や兵器を開発しなければなりませんでした。
それ故に、現在の理系の人材を優先的に確保し育成したかったのではないのかと。
もう一つの社会科学の経済学や社会学は、前者の「富国」に相当します。
経済学を学び国を豊かにする、あるいは社会学で弱者を救済する(というよりはデモ等をなるべく起こさせない)ようにして国の経済活動の妨げを防ぐ、これはこれで「強兵」に次ぐ大事なことです。
最も要らないと考えられるのが「人文科学」ですが、かといってこれを疎かにし過ぎると、欧米列強に「日本は野蛮人の国だから、もう植民地にしちゃえ!」などと思われて非常に危険です。
日本の文化ではありませんが、欧米の文化という話で言えばですね。
実際に「欧米諸国と結んだ不平等条約を解消するため、我が国は文化にも力を入れているとアピールしなければ」と考えた井上馨は、欧化政策をとったわけです。
……結果的には失敗しましたが(特に鹿鳴館)。
と、まぁ、この当時はそういう状況だったから仕方がないのですが、今の日本では他国から攻められて植民地化されるというよりも、自国民が自国民を叩いたり足を引っ張ったりすることで衰退しそうなイキオイで……これは早く何とかしないと……。
ここら辺の話にご興味ある方は、以下の記事もよろしくお願い致します。