タイトルの「ダメなものはダメ!」が誰の台詞なのかを知る人は、今はかなり少くなっているのではないかと思います。
この発言は、女性初の社会党委員長及び衆院議長にもなった、故・土井たか子氏のものでした。
参考までに長崎新聞様の以下の記事もどうぞ。
上記リンク先の記事より以下、引用させて頂きます。
ところで、この“名言”には大切な前置きが省略されている。それは〈どんな言葉で説明されても〉とか〈多数決では私たちは勝てないけれど〉という語句だ
つまり故・土井氏の言いたかったことは「それぐらいの固い決意である」ということだったようです。
しかし、この記事でも指摘されているように、必ずしも良い方に受け取られたわけではありません。
該当部分を引用させて頂きます。
土井氏自身は、この言葉を「妥協のない反対の表明」と説明したことがあるが、現実には“万年野党の遠吠え”にしか聞こえなかった場面もある
率直に申し上げて、この方が多かったのではないかと思うのです。
そしてこの「遠吠え」は、誰かを説得するために何の役にも立たないどころか、むしろ説得の術として考えた場合「頭ごなしに全否定するという最も愚かな行為」にしか見えませんでした。
そんなわけで、この頃の我が家では「ダメなものはダメ!(笑)」とボケて、その後「お前は土井たか子かぁー!」とツッコミを入れる、というのが流行りました。
こんな感じの会話は多分、うちの家だけではなかったと思います。
良く言えばインパクトがあって、親しみやすくて……ということになるかとは思うのですが、知識人に限って言えばむしろ逆だったのではないでしょうか。
こう言っては何ですが、消費税に反対する人は頭が悪いのでは……というムードになったような気がします。
ちなみに消費税に賛成する人は「これまで消費税を導入した国々は皆、税収が増えている」などの理由を具体的な国や数値などを挙げて、理路整然と説明していました。
(他国では成功しましたが日本ではダメでした。国民性が合ってませんでしたね)
とはいえ、インパクトがあって親しみやすくて……というものは、選挙を戦う上では非常に功を奏し、それによって故・土井氏率いる社会党は与党の自民党に圧勝することができました。
ここら辺の話は現代ビジネス様の以下の記事にも記載がありました。
該当部分を引用させて頂きます。
1989年(平成元年)の参院選で、当時の社会党が消費税廃止を訴え、与党自民党に圧勝した。委員長だった土井たか子さんは、「山が動いた」と高らかに声をあげ、当時の流行語となった
で、その「山が動いた」で大量に当選したのは「マドンナ候補」と呼ばれた中年女性の皆さんでした。
東京新聞様の以下の記事に記載がありました。
該当部分を引用させて頂きます。
89年参院選では、22人の女性が当選する「マドンナ旋風」で大勝。自民を上回る改選第一党に。土井たか子委員長は「山が動いた」と名言を残した
その旋風を巻き起こしたマドンナ候補は、その次の選挙でほとんどが落選し、いなくなりました。
はっきり言って、これという仕事をしてくれたわけでもなく、何というか勢いで当選して、勢いがなくなったから自然と落選した、というような気がします。
そしてその後に社会党がどうなったのかと言いますと、それは先ほどの東京新聞様の記事で詳しく書かれています。
2022/6/19当時のこの記事では「得票率が2%を下回ると政党要件を失い、その後の選挙活動が不利になり衰退に歯止めがかけられなくなる」と書かれていましたが。
その後「選挙区では全員が落選したが比例区で福島氏が当選。比例区での得票率も2%を上回り、政党要件を維持する結果」となりました(ウィキペディアより)。
それでは、そろそろここで結論です。
まず「ダメなものはダメ!」で誰かを説得するのはやめた方が良いですね。
この場合の「誰か」を故・土井氏は誰だと思っておられたのでしょうか?
言うまでもないでしょうが、この「誰か」の中には国民も含まれております。
そして国民の中には、消費税導入もやむなし、という考えを持つ人もいます。
そのような人と対話する時も「ダメなものはダメ!」だけなのでしょうか?
だとするなら、この考えを持つ国民に対して非常に不誠実ではないですかと。
そしてついでにもう一つ。
以前、この記事で書いた結論が今回もそのまま当てはまります。
というわけで、引用します。
この時の野党の先生のことを教訓とするなら、以下。
・絶好のチャンスが到来した時にそのチャンスをものにできるのは、それまで実力があるけどチャンスに恵まれなかった人だけ
だからそれまでに、確かな実力を身に付けておかなければならない、ということになりますか。
社会党は社民党と名前を変えた後、現在は消滅の危機にあるわけですけれども。
時を経て今、まさに今、その真の実力を発揮している、ということでしょうか。
なお、最後になりましたが。
消費税については、参考までに時事通信フォト様の以下の記事もどうぞ。
故・土井たか子氏の写真もありますので、ご存じなくて気になる方は是非……って、小さいからわかりくいですよね。
なので、より大きい写真のある記事が以下。
以上です。