去年の今頃、事務の仕事を派遣社員としてやることを決意しました。
どうしても、取材したり記事を書いたり、企画を考えたりとか、そういう仕事をしたいと思っていたけれど、もうここまできたのなら「まったく違う業種に身を投じよう」。そう思って決意してとった進路でした。
事務の仕事は一言で言えば、ひどく退屈でした。これならばわけのわからない卒論に走りまわっていた大学時代のほうがましだったというものです。ひどく怒られることもないかわりに刺激もない。入って初日で私は退屈に殺されそうになりました。
しかし、そんな日々も半年も続けると人間慣れていくものなんですね。
「もうここでいっかな。」
残業だって全然少ないし、定時に帰れるし有給だってちゃんととれるし、出張とかもないし、ミスって怒られることもない。全力をふり絞らなきゃいけない仕事だってない。極端に嫌な人もいないし。
ええ、もうここでいいんじゃないかしら。
そう思ったのが1回目。
しばらく経つと、その思いを強化するために、いろんなことを頭が考えはじめました。
「事務の仕事だって満足にできない私が、編集だとか取材だとか、そんな仕事できるわけないじゃん。」
自分を卑下して変わることを拒むようになりました。わかりやすいほど変わることを拒んでくる自分にあきれました。
そんなに平穏がいいのかな、と考えてみました。
うん。私は波風立たない人生のほうが好きです。誰かにひどく嫌われることが一番怖いです。変わろうとすることで、誰かにひどいことを言われたり批判されることが怖いから、あらかじめ何を言われるかをすごく周到に考えてしまったりします。
変わることを避けて、ぬるま湯のなかで過ごす20代もいいと思うのです。でもきっと、それでは後悔してしまう。やっとけばよかった。本当はもっとできたはずだ。やらなかったことで大きな可能性という余白ばかり残ってしまう。それはきっと年をとればとるほど重くのしかかってくる余白になると思うんです。
だから、怖いと思う今のうちに、修正がきく今のうちにやろう。
そう思って転職しました。自分の人生を動かすのは今までの自分の行動だなあと強く思います。