議論メシを通じて1年弱関わってきたBookShopTravellerという本屋のアンテナショップでの間借り店主を辞めたことを機に、本と本屋について考えていることを3回に分けて書いてみようと思います。
ということでパート3最終回「本と本屋の接続性について」です。前回までの記事はこちら(本とは、本屋とは)
本と本屋については、前回までにひとまず答えをだしました。最終回では「本と本屋の関係」について考えてみます。
本とは・・・人と人とを繋ぐ知識の宝箱
本屋とは・・思いの詰まった場所
前回までで本と本屋について、上記のようにまとめていました。まずは、この2つの関係について考えてみます。
存在の仕方とは、存在論とか難しい話ではなく、ここではもう少しくだけたところまで含めて、存在の意味だけではなく「そういうのもアリかも」という感覚的なことまで含めて、存在の仕方といってみたいと思います。
まず、本についてはどうでしょうか。知識を教えてくれる本、知識を残しておく本、生き方を学べる本、手っ取り早く答え?を教えてくれる本、積むことで達成感を満たしてくれる本、踏み台に使われる本、飛び道具として使われる本、独り言を聞いてもらう本、枕にする本などが思いつきました。
次に、本屋についてはどうでしょうか。本を売っている場所、待ち合わせ場所、偶然の出会いの場所、むしゃくしゃしたときに行く場所、夏場に涼みに行く場所、疲れて休む場所、現実逃避する場所などが思いつきました。
本の存在の仕方、本屋の存在の仕方は、ひとそれぞれあります。本や本屋に思いを持つ人が色々な形で関わっていい!そんな本屋があれば、単なる知識を得るための本が、人との出会いのツールにもなるし、本屋は本が置いてある場所から、思いの持った人に出会う場になれる!そんな風に思います。
議論メシ数学部で「何でも数式にしてみよう」というイベントがあったので、唐突に数式で、本と本屋の関係を表してみたいと思います。
本屋A,Bに同じ本a,b,cがある場合を考えます。何を定数として何を変数とするかで大きく変わってくるのですが、ここでは、x=思いの強さ、y=本屋価値として、各本に対する思いの強さは均一であるとします。
y1 = (a+b+c)x1、y2 = (a+b+c)x2
※本屋Aにおけるx,yをx1,y1、本屋Bにおけるx,yをx2,y2
x:プラス方向≧1、マイナス方向0~1
となります。また、本屋というのは店主が考える価値だけではなく、口コミなどで伝わる人づての情報には違った価値があるので、訪れる人が感じる価値も足し合わせるほうが本屋の価値を表しているんじゃないかと思います。よって、この式に訪れる人の価値も加えていきます。
y = (a+b+c)x
⇒ y = (a+b+c)x0 × (a+b+c)x1 × (a+b+c)x2 ×…× (a+b+c)xn
⇒ y = (a+b+c)×(x0 × x1 × x2 ×…× xn)
※x0:店主の思いの強さ、x1~xn:訪れる人の思いの強さ
ん~、難しい…。単純化したいので、xという思い強さは人それぞれかもしれないけど、その平均をxとすることより、xのn乗の式に置き換えても問題ないじゃない?ということで、
⇒ y = (a+b+c) × x^n
なお、a+b+cは本屋においてある本ですが、店主の思いのある本が全く同じという本屋は他には存在しないと考えることもできるので、
⇒ y = (a+b+c) × x^n
⇒ y = k × x^n (k:店主ごとの思いの係数)
こう考えた場合、2つのことが言えるんじゃないかと思います。
1)店主の思いに共感して集まる人が増えていくことで、
べき関数的に本屋価値が高くなる
2)店主ごとに思いの係数は本屋ごとに異なる。つまり、本屋ごとに数式が
存在する。これは思いのある本屋はお客さんの取り合いにならないといえる
本と本屋の関係式は、べき関数なのでグラフにするとかんな感じです。(奈良高専のページにあったのでちょっと拝借)
奈良高専 2012年度「数学α」授業概要 第7回より
http://www.libe.nara-k.ac.jp/~nagura/edu/2012/mathA.html#2012-2
見ればよく分かると思いますが、べき関数は関わる人が多くなれば、最初こそ本屋の価値(y)の伸びは1人でやっているときの方が高いけど、次第に本屋の価値(y)の伸びはものすごい角度になって上昇していきます。微分とかすると面白そうですが、それはまた次の機会にして、この伸びは感覚的にも同意できます。人が多ければ共感を得るには時間がかかりますが、共感が得られれば、そこからは倍々ゲーム的に共感者が増えていく口コミ効果を考えれば分かりやすいかと思います。
最初は一人で始めた本屋も共感する人が増えていくことで、その本屋の価値を高めていける!しかも、共感の仕方は人それぞれでいい!本と本屋の関係性は変化(グラフの傾きが変わりながら)しながら成長していく、動的な関係が良さそうです。その動的な関係を「接続性」と呼んでみたいと思います。
関係性=静的な関係 / 接続性=動的な関係