テレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士 SEASON I 特別編 第二夜』が2020年6月7日に放送されました。深山大翔弁護士(松本潤)と佐田篤弘弁護士(香川照之)、立花彩乃弁護士(榮倉奈々)は、因縁をつけてきた客をもみ合いの末にナイフで殺害した飲食店員の山下(風間俊介)の弁護を担当します。
山下は正当防衛を主張しますが、深山弁護士は山下の説明に違和感を覚え、独自調査を始めます。そこで誰にも言えない話が明らかになります。半グレのようなスレスレで生きている素行の悪い連中に倫理感が通用しないことを示しています。
風間俊介さんはNHK大河ドラマ『麒麟がくる』では松平元康(徳川家康)を演じています。第二夜の直前に放送された『麒麟がくる』第二十一回「決戦!桶狭間」では今川の酷使に腹を立てていました。理不尽に苦しめられる点は共通します。
『99.9-刑事専門弁護士』は現実の事件を下敷きにすることが多いです。今回の事件も宮崎強姦ビデオ事件を連想させます。性犯罪の加害者の代理人弁護士が被害時の盗撮ビデオの処分と引き換えに被害者に示談を要求した事件です。加害者側弁護士への批判が高まり、弁護士懲戒請求を求めたネット署名は約20,000筆近い賛同が集まりました。私も署名しました。
ドラマでは警察の半グレへの甘い捜査を覆す結果になりました。冤罪と半グレなどの社会悪の糾弾は表裏一体と言えそうです。第一夜では冤罪を明らかにする活動がブラック企業の実態を明らかにすることにつながりました。『白日の鴉』でも冤罪を明らかにする活動が貧困ビジネスを暴きます(林田力「『白日の鴉』冤罪と貧困ビジネス」ALIS 2020年3月21日)。
立花弁護士の倫理感とプロレス技が炸裂します。主人公を活躍させる展開上、同僚弁護士は役立たずポジションになりがちですが、立花弁護士は存在価値を示しています。このような点が作品としての素晴らしさに繋がります。
『99.9-刑事専門弁護士』はグルメ作品の要素もあります。深山弁護士は「ローストビーフは脂身が少ないものを使うべき」と力説します。脂身が多いものが高級であり、高級牛肉を使えば美味しくなるという類の価格と味の比例を否定します。また、深山弁護士は「牛が悲しむ」「鰻が悲しむ」と食材を大切にしています。飽食とは逆の健全な食の価値観があります。
99.9 刑事専門弁護士 SEASON I 特別編
『99.9-刑事専門弁護士』松潤の榮倉呼びにゾクゾク
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埼玉県警察不祥事