ブロックチェーン技術によって、既存の銀行のビジネスモデルが大きな打撃を受ける?とか、既存の銀行はいらなくなる?といったような見方がささやかれたりすることもあるようですね。
とはいえ、より発展的にビジネスを展開していけるような方法を探る銀行も出てきているようです。ブロックチェーンの技術を使った送金サービスの開始などは、その端緒といえるかもしれません。
台湾でも、銀行によるブロックチェーン技術の活用が模索され始めています。しかも、大手と言われる銀行がいろいろと動き出しているようなので、少し書き留めておきたいと思います。(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。厳密なものではありませんので、参考までにご覧ください(^^;)
聯合報が報じたところによると、台新銀行がブロックチェーン技術による自行口座間の取引業務の運用を、まずは社員間において実証実験することにしたと発表しました。
台新銀行は正式名称を「台新国際商業銀行(Taishin International Bank)」といいます。台湾の一大企業グループである新光グループ(新光集団)の一員で、1992年の創業という比較的新しい銀行です。(ちなみに新光グループは「新光三越」デパートで、日本人にもよく知られていますね)日本でも2016年に東京支店を開設しています。
新しい銀行ということで、新しい技術を積極的に採用する姿勢があるようです。これまでも、「ApplePay」の導入や、独自のモバイルウォレット決済サービス「LETSPAY」の実施、ファミリーマート(全家便利商店)と提携して携帯番号でATMが利用できるサービス、若者向けスマート金融ブランド「Richart」の新設など、目新しいサービスを次々と打ち出してきています。(Richartのキャラクターもかわいいです!)
先の記事では、今回の試験運用は今後のサービス拡大を視野に入れたもののようです。具体的にはモバイルバンク(行動銀行)やアプリの開発に広げていくことを考えているということです。
ただ、副社長の包国儀さんのコメントでは「期待未來法令通過後,可將區塊鏈技術應用擴大試行範圍到跨行或其它業務應用領域。(これからの法令通過後を期待して、ブロックチェーン技術の応用を銀行間やそのほかの業務応用領域へと広げていきたい)」とあります。やっぱりここでも法整備が待たれているようですね。
記事によれば、台新銀行は2017年5月に「イーサリアム企業連合(Enterprise Ethereum Alliance、EEA、以太坊聯盟)に加入したとのことで、積極的に導入していく姿勢をもっているようで、サービス拡大が期待されますね。
つづいて、こちらの記事によると、玉山銀行が台湾大学のブロックチェーン研究グループや学生団体と提携して、台湾大学内でポイントによる割引サービスの試験運用をおこない、その結果を公表したと報じられています。
玉山銀行は正式名称を「玉山商業銀行(E-SunBank)」といいます。こちらも台新銀行と同じく1992年開業と比較的新しい銀行ですが、台新銀行とは違い、独立系の銀行として知られています。こちらも2017年に東京支店を開設しています。
記事によれば、QRコードを利用した決済アプリを使うとポイントがたまり、それがブロックチェーンに記録されていくという仕組みだと説明されていました。そして、実証実験では3か月のあいだに、大学構内の32のお店で1万件の利用があったと公表されています。
実際には、決済完了にやや時間がかかるなど、技術的な問題がいろいろと見られたようですが、技術開発を進めていくことによってこうした問題を乗り越えていきたいとのことです。
こちらも台新銀行と同じく、決済システムだけではなく、スマートコントラクト(智能合約)による多様な分野への応用を考えているようで、これからの展開が楽しみです。
玉山銀行の記事には、台北富邦銀行(台湾新幹線の駅にATMがたくさん)のイーウォレット(電子錢包)アプリの開発や、中国信託商業銀行(プロ野球チームも持ってます)のSoundscapeとの提携についても伝えています。
(SoundScapeについてはこちらに記事を書きました)
いずれの銀行も台湾では名の知れた大手銀行ですが、こうしたところが真摯にブロックチェーン技術を導入しようと動き出している様子は、まさに「黎明期」という感じがしてワクワクしますね!
「仮想通貨元年」の台湾でさまざまなサービスが始まっていく様子を、これからも追いかけたいと思います!
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