香港で2019年6月から展開されている「逃犯条例」修正法案に対する抗議行動は、以下の記事にまとめた、行政長官による法案撤回宣言によって新たな状況に進んでいます。
この談話が発表された9月4日以降も、香港では抗議行動が各所で展開されています。
そうした状況のなかで、抗議行動に参加する人々のあいだで急速に広がり、いろいろなところで歌われている歌があります。
日本のメディアでもすでに報じられています。
朝日新聞のこちらの記事には動画もアップされているので、実際の合唱の様子を聴くことができます。
この記事中に挙げられている動画は、香港島のMTR香港駅の近くにある国際金融センター(國際金融中心、IFC)で行われた合唱の様子です。
MTR香港駅は香港国際空港と接続するターミナル駅で、ショッピングビルも併設されていますが、そうした場所とは思えないほど、荘厳な雰囲気が伝わってきます。
この歌がどのようにして生まれ、どのようにして広がっていったのかについては、繁体字版のwikipediaにまとめられています。
このwikipediaの記事によれば、6月のデモ開始時から作曲がスタートし、2019年8月31日にyoutube上に公開されたということです。
作曲にあたっては、イギリスの「神よ女王を守り給え(God Save the Queen)」やアメリカの「星条旗(The Star-Spangled Banner)」や「リパブリック賛歌(The Battle Hymn of the Republic)」、ロシア連邦国歌や讃美歌などを参照したとあります。
一種の「アンセム」に類するものとしてイメージされたことがうかがえますね。
タイトルの「願榮光歸香港」は、日本語に直訳すれば「栄光が香港に戻りますように」という感じですが、英題のGlory to Hong Kongからそれっぽく訳すなら、「香港に栄光あれ」でしょうか。
wikipediaの記事には、作曲者の公式ページに公開されたMVへのリンクが貼ってありました。
加えて、歌詞や楽譜などのデータがスプレッドシートとして公開されています。
このスプレッドシートには、広東語の歌詞が6種類、英語版が2種類のほか、中国語、日本語、フランス語、ドイツ語の歌詞が掲載されています。
このうち、日本語の歌詞には「意訳」と注記されていて、広東語の歌詞の直訳ではないようですが、歌に合うニュアンスで表現されています。
Youtubeなどを検索すると、音楽に合わせた日本語歌詞をアップされている方もいらっしゃるようです。
歌詞を翻訳するというのは無粋になることもあるのですが、それを承知でここでは、上に挙げたMVの広東語(通用版)の歌詞をスプレッドシートから引用したうえで、直訳に近い形の日本語仮訳をしておきます。
広東語(通用版)・日本語仮訳
何以 這土地 淚再流 ?(なぜ、この地で涙が流れるのか?)
何以 令眾人 亦憤恨 ?(なぜ、人々は憤るのか?)
昂首, 拒默沉 , 吶喊聲 響透 ,(顔を上げて、沈黙を破り、声を上げて、響かせよう)
盼自由 歸於 這裡 。(自由がここに戻ることを願って)
何以 這恐懼 抹不走 ?(なぜ、この恐怖は消えないのか?)
何以 為信念 從沒退後 ?(なぜ、信念は後退しないのか?)
何解 血在流 , 但邁進聲 響透 。(どれほど血が流れても、声を上げて進もう)
建自由 光輝 香港 !(自由が輝く香港にしよう!)
在 晚星 墜落 徬徨 午夜 ,(星が舞い落ちる真夜中の、)
迷霧裡 , 最遠處 吹 來 號 角 聲 :(霧の中で、一番遠くまで角笛を吹き鳴らせ)
"捍自由! 來齊集這裡 ! 來全力抗對!(「自由を守れ!ここに集まれ!全力で戦おう!)
勇氣 , 智慧 , 也 永不滅! "(勇気や智慧は滅びない!」)黎明來到 , 要光復 這香港 。(夜明けは来る、この香港に光を。)
同行兒女, 為正義 時代革命 !(手を取ろう、正義のための時代革命に!)
祈求 民主 與自由, 萬世都 不朽 。(民主と自由を求め、永遠に朽ちることなく)
我願 榮光 歸香港 。(香港に栄光あれ)
この歌が、香港の人々を守ってくれますように。
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