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ベター・コール・ソウルを見終えて想う善悪古今東西

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  • クロサワ
  • 2022/08/19 15:14
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ベター・コール・ソウルを見終えて、とても色んなことを考えさせられたので、今日はそのことを書きます。

たった今見終えたところで、思ったことを思うままに書き散らしますが、つい先日最終回が配信されたばかりの作品なので、書き終えたあとに読み返してネタバレになりそうなところは修正してから公開するつもりです。

この作品はいわゆるスピンオフ作品で、ブレイキング・バッドというドラマのそれに当たります。

 

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ブレイキング・バッドは、かなり古い作品なので、これについてはネタバレ配慮無視で書きます。

 

 

 

ガン宣告を受けた科学の高校教師ウォルター・ホワイト。

 

残された家族のために一財産を残そうと持ち前の科学の知識を活かし、元教え子のチャチな売人ジェシー・ピンクマンとタッグを組んで麻薬の密造販売を始め、ゆくゆくはアメリカ全土にわたる麻薬製造を牛耳る物語。

 

 

 

ブレイキング・バッドには、ウォルター・ホワイトの資金洗浄や販売ルートのパイプ役を務めたソウル・グッドマンという悪徳弁護士が登場する。

 

 

 

このソウル・グッドマンの生涯を描いたのが、ベター・コール・ソウルという作品。

 

話はソウル・グッドマンがウォルター・ホワイトに出会う前とブレイキング・バッドのその後を交差させながら次第にソウル・グッドマンの末路に進んでいく。

 

 

 

 よく聞く一般論として、

 

日本人は曖昧で繊細であり、一挙手一投足全てに裏が存在し、常にモノの機微を測り続けている。

 

対してアメリカ人はとても大雑把で、一神教なもんだから全てを二元論的に語り、イエスかノーか以外の答えを受け付けない。

 

私がかねてから思っていることは

 

本当にそうか?

 

ということ。

 

エンターテイメント作品を見ていると、真逆に感じることの方が多いです。

 

私の最終学歴は専門卒なので、当然歴史にも政治にも経済にも疎いです。

 

なので読む本はほとんどマンガか小説だし、外国語は全くわからないし、デジタルも自分の職業上必要なこと以外にはからっきしで、メディアといえばエンターテイメントのことにしか興味がない人間です。

 

なので「本当にそうか?」と思うことがあっても確たるエビデンスを常に持ち合わせていません。

 

ので、あくまで「そう思った」というだけの話なのですが、日本人は実に二元論的にモノをとらえたがる人種であると思います。

 

邦画と洋画(ここではアメリカ産映画のことを指します)を比べた時、邦画にはあまりにも含みがないと感じる。 どの作品も往々にして結論を述べてくる。

 

 

 

いいわるいの話ではなく、単に事実としてそう感じることが多いという話。

 

あくまでこれは私の個人的な感想であり、趣味嗜好によるバイアスがかかっていることは認めた上で続けたいと思いますので「中にはこういう作品もある!」という例外についても捨て置きます。

 

 

 

前置きがくどい。うるさい。

 

という自己否定による自己擁護に、今現在とても酔っ払っていることも付け加えます。

 

さて、予防線を張り終えたところで本題ですが、

 

 

 

日本人は思慮深い風、アメリカ人は爽やかや風だと思う。

 

 

 

というお話。

 

日本人の思慮深い風については、ここまでの文章で私自らが示したとおりです。

 

自分の立場を明確にするということを古来から避け続けてきていたため、自分の立場を明確にするためにこれだけの言葉を要します。

 

源頼朝と義経の話を描く場合、どちらかが善、どちらかが悪であるという描き方をしている作品を、少なくとも私は見たことがありません。明智光秀も、石田三成も、ラオウもカイドウも。

 

その上で、「ここまで描いてきたような様々な視点があるにせよ、本作においてはこれを善としこれを悪とする」という結論をオチに持ってくるパターンが多い気がするわけです。

 

なんなら「どっちが善か悪かわかったもんじゃありませんね」みたいな匂わせ方をしてくる作品においても、結果的にどちらか一方に導こうという魂胆を全面に押し出してくる印象。見る側がどう感じるかよりも、作りて側のメッセージがとてもハッキリしている。

 

 

 

アメリカの場合、

 

我々日本人からは「あまりに一方的な見地からのご都合主義だ」といった旨の感想をよく聞きますが、私にいわせれば「それでいい」のです。

 

なぜなら、アメリカの作品の多くの場合、「この作品はこの者の立場に立って語ることになる」という「立場」が前提として明らかになっているからです。

 

一見、善悪がハッキリしていて爽やかな印象ですが「では善とはなんぞや?」「悪とはなんぞや」という点に関して言い切りはせず、そこを演出で問いかけてくる。

 

邦画におけるオチが洋画では最初から作品の前提となっており、そこをピンポイントに掘り下げていくイメージ。捉えようによっては邦画が示す明らかな立場よりも遥かにネチネチと見る側に問いを投げ続けてくる。

 

いま一度そのつもりで日本の作品を見てみると、例えば「善からみれば悪は当然悪であるが、悪から見た善は不思議なことに悪なのである」というような、古今東西の人類が少なくとも数千年以上こすり倒してきたハナシを今さらイチからなぞりなおそう というお話なわけで、立場が曖昧ゆえに複雑かに思われがちですが、より多くの立場に立っているということは、悪く言えば「広く浅い」わけです。しかも浅いまま、なんらかの方向性だけは最後に示そうとしてくるわけです。

 

 もう一度私の「立場」を明確にしますが、洋・邦の優・劣を語るつもりはありません。そういう「違い」があると私には思えるという話です。

 

わかりやすい結論を示してもらうか、不確かな結論に至る過程から自分なりの判断材料を得るかというように私は感じています。

 

この差は私の知る限りの国の成り立ちや歴史を鑑みるだけでもそうなって然るべしと思える材料がいくらでもあるので、皆さんもそのつもりで考えていただくと思い当たる例がいくらでもあるんじゃないでしょうか。

 

ベター・コール・ソウルはそういう意味で「悪」の立場をすごく丁寧に描いた作品だと感じました。

 

 ああ酔っ払った

 

本日はこんなところで。ひとつよしなに

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