前回の記事で、台湾で初めてのブロックチェーン技術を使った決済システムの試験運用が始まったことを書きました。
この決済システムの基盤となっている技術は、台湾の「AMIS」という企業が開発した「Istanbul BFT(IBFT)」というコンセンサスアルゴリズムがベースとなっているようです。
この「AMIS」という企業、そして「IBFT」という技術が思いのほかスゴイかも…と感じたので、少し深堀りしたいと思います!
(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳ですので、厳密なものではありません。参考までに止めてご覧ください(^^;)
まずはタイムリーな話題から。2018年5月16日に配信されたこちらの記事によると、ConsenSysとAmazon Web Services(AWS)が、イーサリアムをベースとしたブロックチェーンビジネスクラウサービス「Kaleido」を発表したそうです。
ざっくりと理解したところでは、AWSというのはアマゾンが提供する、ウェブサイトの開発者や運営者に向けたインフラ系クラウドサービスで、そうしたサービスをブロックチェーンと連携した形で稼働させるプラットフォームとして開発されたのが「Kaleido」ということのようです(間違っていたらすみません(^^;)
そして、この「Kaleido」の特徴のひとつとして挙げられているのが、イーサリアムパッケージとしてメジャーな「Geth」と「Quorum」、そしてコンセンサスアルゴリズム「RAFT」、「POA」、「IBFT」が使えるということなのだそうです。
このなかに挙げられている「IBFT」が、今回の記事に書きたい台湾の企業「AMIS」が開発したものなんです!
AMISは2016年9月に、台湾の仮想通貨交換業者のMaiCoinの創業者である劉世偉さんが設立した、ブロックチェーンサービスの開発企業です。
AMISの公式ウェブサイトによれば、AMISはブロックチェーンを利用したサービスを開発・提供することを通じて、「與政府及同業共創台灣金融產業新未來。(政府や同業者と台湾の金融産業の新しい未来を創り出す)」ことを目指しているようです。
産官学の共同体制で、台湾のフィンテックをリードしていこうという意気込みが感じられますが、AMISは実際に創設当初からこうしたことを実行に移しています。
たとえば、2016年10月に配信されたこの記事によれば、AMISはマイクロソフトおよび政府機関の外郭団体である工業技術研究院との合同事業として、マイクロソフトのブロックチェーンクラウドサービス「Azure」をベースとしたコンソーシアムブロックチェーン(聯盟區塊鏈)「帳聯網」を発表しています。
同時に、台北富邦銀行や台新銀行など、台湾の有力銀行と提携して、ブロックチェーンの商業利用を模索していると伝えられています。前回の記事に書いた台北富邦銀行が開始した決済サービスは、こうした連携の延長線上にあるのかもしれませんね。
また、こちらの記事で劉世偉さんが語っているところによれば、AMISはイーサリアム企業連合(EEA、Enterprise Ethereum Alliance)に加入しており、イーサリアムベースのプラットフォーム開発に注力しているようです。
そこで開発されたのが、イーサリアムベースのコンセンサスアルゴリズム「IBFT」なんですね。
まず、コンセンサスアルゴリズム(共識演算法)というのは、仮想通貨やブロックチェーンの情報を集めようとするとよく目にする「PoW(Ploof of Work)」や「PoS(Ploof of Stake)」と呼ばれるものです。
中国語ではそのままアルファベットで表現されることが多いですが、記事によっては「挖礦演算法」と書いてあるものもあります。「挖礦」(マイニング)ですから、ブロックチェーン上にブロックを追加するためのアルゴリズムということですね。
AMISが開発したのは、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズム「伊斯坦堡拜占庭容錯演算法(Istanbul BFT)」というものです。
「BFT」は「Byzantine Fault Tolerance」の略称です。これは「ビザンチン将軍問題(Byzantine Generals Problem)」という通信における合意形成の問題に関する解決方法のひとつということのようですが…
wikipediaの記事を見ても僕には充分に理解できませんでした。とりあえず、「伊斯坦堡(イスタンブール)」という名称がこれにかかわるものなのだな、というところまではわかりました(^^;
それはそれとして(^^; この記事によれば、「IBFT」は2017年7月に公表され、「IBFT」によりイーサリアムの処理スピードが格段に上がり、商業ベースの決済システムへの応用が可能になったと報じられています。
そのスピードは、ビットコインが1秒あたり7件の決済しか処理できないのに対し、最大で1秒あたり1,200件の決済を処理できるとのことです!
また、JPモルガン(摩根大通)が展開しているブロックチェーンプラットフォーム「Quorum(クォーラム)」の第三のコンセンサスアルゴリズムに採用されたことも記事には書かれています。
Quorumはスマートコントラクトプラットフォームとして注目されているものですから、AMISの技術は台湾国内に限らず、世界に向けて着々と広がっていっていることがうかがえます!
…ふぅ、技術的な話は僕の理解も追いつかず、かと言って、ダラダラと書き連ねるのも良くないなと思うので…まとまっているかどうか心配です(^^;
最後に、AMISという会社の名前についてまとめて、ひとまず記事を終わります。
「AMIS」という名称は、公式ウェブサイトによれば、以下のような意味が込められているそうです。
「AMIS 有雙重涵義。一為法文讀作“ami”,是朋友的意思,另一則為台灣原住民阿美族。(AMISには二つの意味が込められている。ひとつはフランス語の「ami」で、友達という意味、もうひとつは台湾の先住民アミ族のことである)」
ここに書かれているふたつめの意味、「アミ族」の伝統的な踊りのなかに、手と手を交差させながらつないで踊るものがあります。(AMISのウェブサイトにはイメージ図が書かれています)
この踊りは、「表達友誼與分享(友情と共有を表現している)」とAMISは解釈し、これがAMISの「最重要的品牌精神(もっとも重要なブランド精神)」だと述べています。
ブロックチェーンを通じた多様なつながりを、台湾から世界へと実現していく…そうした確かな信念のもとに、技術開発を進めていることが伝わってきますね!
これからのブロックチェーンの展開に、AMISの存在は欠かせないように思います。僕も引き続き、情報を追っていきたいと思います!
kazの記事一覧はこちらです。よろしくおねがいします!https://alis.to/users/kaz(下のアイコンからも記事一覧に行けます)
ちなみに、AMISは以下の記事に書いたOwlTingにも技術提供をしています。合わせてご覧ください!
J-Taiwan News 日本のSBIが台湾の仮想通貨・ブロックチェーン関連企業に投資していますね!
台湾のブロックチェーン導入事例として、こんな記事も書いています。
台湾でブロックチェーンを使った決済システムの試験運用が始まったようですよ!(文中引用記事)
台湾の銀行もブロックチェーンを取り入れようと動き出しているようです!
台湾エンタメ界にもブロックチェーンの導入が始まっていますよ(著作権管理に活用?)
などなど…