ブロックチェーンは、基礎研究はもとより、既存のサービスにどのように応用・導入していくのかを研究する段階に入ってきているように感じますね。
その開発には、ブロックチェーンを専門とする企業や研究所などはもちろん、サービスを既に提供している企業も積極的にかかわろうとしているようです。
今日はその事例のひとつとして、世界的なシェアサイクルサービスを提供している「ofo」がブロックチェーンに関する研究所を設置するというニュースを目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
中国の科学技術系メディアの36氪(36Kr)が発信した記事によると、世界的にシェアサイクルサービスを展開する「ofo」が、2018年5月17日に「区块链研究院(ブロックチェーン研究所)」の開設を発表したと報じられています。
「ofo」は2014年に北京で起業されたシェアサイクルサービスを提供する会社です。シェアサイクルのイメージカラーが「黄色」なので、サービスを表現するときは「ofo小黄车」と呼ばれます。
中国発のシェアサイクルサービスと言えば「Mobike(摩拜)」が有名ですけれど、ofoとMobikeは常にライバル関係として語られる存在です。
中国の有名なIT企業である「アリババ(阿里巴巴)」からofoは資金提供(借入)を受けていますが、Mobikeも「テンセント(腾讯)」から資金提供を受けていて、アリババとテンセントの「代理戦争」と煽られることもあります。
日本にも2017年に進出し、2018年3月からサービスを開始しています。日本語サイトも開設されているようです。
日本のシェアサイクルサービスにおけるofoの位置づけについてはこのような記事が上げられていますが、シェアサイクルは日本も含め、世界各国で多くの企業による激戦が展開されているようで、これからのサービス拡大が成功するかどうかが注目されていますね。
先に挙げた36Krの記事によれば、ofoはブロックチェーン研究所を設置して研究を始め、ブロックチェーンをサービスに導入していくことによって、シェアサイクルサービスのウィークポイントである「乗り捨て」や修理の管理、さらにはユーザーとの良好な関係性の構築、シェアの向上といったような課題を解決していくことを目指すとしています。
とりわけ、記事のなかで以下のように語られていることが注目されます。
能解决ofo与用户之间的信任机制问题,增加ofo对用户的吸引力(ofoとユーザーとのあいだの信任メカニズムの問題を解決し、ofoのユーザーへの求心力を高めることができる)
能够帮助ofo解决不同国家用户之间存在的货币转换问题,极大的简化了用户骑行结束后的结算效率(ofoが違う国家のユーザーのあいだに存在する両替の問題を解決する助けとなり、ユーザーがサービスを利用した後の精算効率を飛躍的に簡単にすることができる)
こうしたことは、ブロックチェーンのもつ「信息不可篡改、开放性和去中心化(情報の改ざん不可、開放性、非中央集権化)」という大きな特徴を活かすものであり、この点にofoは注目しているようです。
これから具体的にどのような研究が行われ、どのようなサービスへと展開されていくのか。発展のスピード性も含めて、今後の動きが注目されますね!
同じ記事のなかには、シェアサイクルへのブロックチェーン導入の先行事例として、シンガポールを発祥とするoBikeがTRONと提携して「oCoins」というトークンを発行したという事例が挙げられていました。
この事例については後続情報が見当たらないのでどうなったのかが確認できていないのですが…近年拡大しているシェアビジネスとブロックチェーンは、もしかしたら相性がいいのかもしれませんね。
中華圏の地域でもシェアビジネスは幅広く展開されています。このあたりの動向も少しずつ追いかけていきたいと思います!
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台湾・中華圏のブロックチェーン利用の事例については、以下のような記事も書いています。
台湾でブロックチェーンを使った決済システムの試験運用が始まったようですよ!
DLTで台湾のネット掲示板を分散型ソーシャルメディアに!?(BiiLabsとTaiwan AI Labsの目指すもの)
台湾の銀行もブロックチェーンを取り入れようと動き出しているようです!
ALISに近い?中華圏を席巻?Mattersはコンテンツプラットフォームへの仮想通貨導入を目指しています
台湾エンタメ界にもブロックチェーンの導入が始まっていますよ(著作権管理に活用?)